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第24話

 逃げることも身じろぎも許されず、荒い息が二人の唇の間で押し潰されて……  ワイシャツを掴んで引っ張ろうが、背を拳で叩こうがびくともしない。  唇を引き結んで逃げようとするも大きな手が頬を掴み、親指が隙間を抉じ開けるように差し込まれ、逃げ場のないまま部長の舌を受け入れることになった。  初めての他人の舌の感触はほろ苦い酒の味で…… 「 口を  開けるんだ」  銀色に光る糸が繋がる距離で囁き、ねじ込まれていた親指が歯を開けとせっつく。  かち かち と震えて鳴る歯はうまく動いてくれず、結局はその指でこじ開けられた。  指が深く差し込まれて舌を押さえつけ、吐き気に喘いでできた隙間に部長の舌が入り込む。  それに、噛みついて反撃する勇気なんてオレにはない。  歯列を舌先でなぞられ、甘噛みされて…… 「 んっ んぅ!」  押しのけようと足搔いていたはずの手はいつの間にかワイシャツを強く握りしめるだけになり、Tシャツをたくし上げる力にも抵抗できなかった。  くちゅくちゅと耳を打つ水音。  深く角度を変えながら何度も咥内を犯されて、息がうまくできなくて脳がぼんやりと痺れる。  汗ばんだ指に胸の先端を探られた時、体が跳ねて昂ぶりが部長の足に擦れてしまった。  熱さと、痺れる感覚に腰が仰け反る。  寝るために用意した薄いスウェットでは、それを隠すこともできず。 「  っ ふ 」  どちらの唾液ともわからない糸を引いて体を起こした部長が、小さく息を漏らした。 「ち、が、  コレ、は……生理現 象で」  はっ はっ と上がる息の合間に言うけれど、それを聞いてくれたかはわからない。  ただ骨ばった長い指先がスウェットを引きずり下ろし、中のモノを引きずり出すのが見えた。  なぜ?  なぜ、部長の手はオレのモノを包み込んでいるんだ? 「  やめ、て」 「   」 「……やめて、くだ さい 」  力の入らない震える指で、急所を掴む手を退けようとしたけれど、それは部長の指の隙間から零れてくる先走りで滑って役に立たなかった。

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