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第36話

 視線が、  肌を這う、  見つめ返すと、自分と同じ反応を見つけて…… 「  ベッドに、の 上りますね」  のそりと部長の体がこちらを向いて、そこでやっと逃げた方が良かったんじゃないかなって、考えが過って……  照明の落とされた部屋の小さな灯りが、逆にすべてを闇に落とし込むようで、指先が震えていることに気が付いた。 「準備、しま  す」  コンドームの使い方なんて、学校で習ったきりだ。  あとはせいぜい、本や話で聞くばかりで、思いの他薄いものなんだと言うことも、うまい付け方なんてのもわからない。 「 ン  」  一つを失敗して、二つ目はうまくいった。 「部長にも」  逡巡し、緩められていたスラックスに手をかけてずらす。  その重量感はオレのモノとは違ってて……  直視できないままにソレを握りしめる。 「あの、ちょっと   な、舐めますね 」  完全に起立しているとは言い難いソレにゴムをつけるのは無理そうで、オレは額づくように頭を下げてその先端に唇を寄せた。  触れた瞬間、舐めなくとも扱けば良かったんじゃないかとも思ったが、それが正しいような気がした。  熱と、牡のニオイ。  先端を舐める時も、口の中に迎え入れた時も部長は何も言わなかった。  舐め方なんか知らない。  ただ、口に含んで丁寧に舌を這わせるしかできない。  体積の増すソレは口の中を押し、喉の奥を突き上げてくる。  舌で感じるその感触が思い描いていたよりも滑らかだとか、柔らかい感触がするだとか、脳の隅っこで小さく驚いていた。 「んっ  」  喉の奥を突かれて嘔吐感に微かに呻く。  そんなところに何かが触れるなんて、普通の生活では体験したことがなかったから。 「 っ」  部長の先端から苦い雫を舐めとり、吐き気で滲んだ涙を拭う。 「こ、ん   つけますね」  コンドームと言う言葉が恥ずかしくてつっかえた。  けれど部長はそんなこと気にもしていない風で頷く。  立ち上がったソレは凶悪で……  前回の出張の時よりも、想像の中よりも、オレの恐怖心を煽ってくる。 「  ぅ、ん 。しつれ、い します」  薄い膜に覆われたソレに跨り、ゆっくりと腰を下ろす。  震える手で体を支えることも困難だし、初めて他人を受け入れる緊張で歯がカチカチと音を立てていた。  顔色を見ることができたなら、真っ青だったかもしれない。

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