38 / 105

第37話

 つ  と頬を流れる涙に後押しされるように、指で広げた個所を宛がう。 「ふ、ぅ   ぅ……っ 」  弄ったところでせいぜい指を使う程度で、それ以上のモノなんて怖くて使ったことはなかった。  そこに自分の体以外のモノが触れるのが初めてで……  ナカから垂れたローションの力を借りても、入る気配はない。 「ぅ  すみませ っ」  パタパタと涙が部長の腹の上に落ちた時、大きな手が肩を掴んであっと言う間にシーツに押し倒された。 「あっ!」 「何をしている」  ナニ……なんて、他に何もない。  ソレを入れようとしているだけだ。 「すみ ません。うま、くできなくて 」  ひっ ひっ としゃくりあげる合間にする謝罪が情けなくて…… 「慣れてないのか」  ぷちゅりと入り口が擦れる水音がして、反射的に逃げを打った腰を熱い手が鷲掴む。 「やっ すみま……っ」  圧し掛かる体重に体が勝手に逃げる。  うまい力の逃し方も分からないままに、部長の体に縋りついた。 「すみ っう…… ぁ  」 「きつい」  ぐぐっと押し込まれる熱から逃げようがなくて、拓かれる恐怖に全身が固まる。  息も吸えない。  涙は止まらない。  割られる破瓜の痛みは想像以上で…… 「こんなきついものなのか」  平坦な声音に小さく首を振ってでしか答えられない。 「    」 「 わか   んない 」 「経験がなかったのか」  ぐいっと前髪を払われて、拍子に落ちた涙がこめかみを伝った。  その感触に震えながら頷くと、部長の呼吸が一瞬乱れたような気がした。 「あと半分だ。我慢しろ」 「ひっ 」  腹の中は一杯で、これ以上入る余地はない。  なのにこれで半分と言われ、ただただ逃げるためにシーツを掴む。  なのにそれも封じられ……

ともだちにシェアしよう!