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第38話

 失敗して放り出してあったコンドームで根元を括られ、イクことも許されないまま揺さぶられ続けて、オレの意識は朦朧としていた。 「ひ、ィ きた……」  縋って懇願しても、邪魔そうに手を振り払われて逆に腰を深く沈められる。  部長の形にぴたりとなったナカが震えて快感を拾っているのに……イケない! 「ぶちょ !おねが っ  しまっ」  意地の悪そうな唇の端が僅かに歪む。  水で満たされた視界の中で、それだけがわかった。  体中の痛みで、意識が戻った瞬間呻いた。  内臓は掻き回されたように痛んだし、全身の筋肉が悲鳴を上げている。  出そうとした声は喉が潰れていて、とっさには出なかった。 「起きたか」  声は傍らの椅子からで、視線だけでは探れずに首を動かしたが、鈍い痛みに声を上げるしかできない。  それを察したのか、立ち上がる気配とこちらに近づく音がして、 「今日は私一人で回る、休んでいるといい」 「 そ んなっ   ────っ!」  飛び起きた際の衝撃で、拳がぎしぎしと音を立てそうな程の苦痛に苛まれ、奥歯を噛み締めて項垂れた。 「これは、私の責任でもある」  いつも通りの隙のない姿。  こちらを見下ろす双眸には、なんの感情も見つけられない。  机の上のゼリー飲料やスポーツドリンクを枕元に置き、ゆっくりしているようにとだけ言って部長は部屋から出て行った。  あとはただ、静けさだけが残って…… 「  は…… 」  肉体的に愛し合うことに、希望がなかった訳ではなかった。  万に一つの可能性として、自分を愛してくれる人ができたなら、二人で過ごす一夜の明けはどんなものだろうかと、考えたことがないわけではなかった。  ぼんやりと  漠然と  けれど、薄暗いビジネスホテルで無表情に見下ろされるなんて思いもしなかった。  望まれて、愛されて、その朝には照れ臭くとも会話もあるものと……  なんとなく  思っていたけれど……  体中が痛んで、体の中は更にキシキシと軋む。  胸は更に痛んで……ただ、涙だけが零れた。

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