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第62話

 これで、家族の会話を聞くのが何度目になるかわからない。  部長は出張時のルーティンとして、ホテルに着いたら家族と電話をするようだった。 「  、   っ 」  同じベッドの  いや、自分の上に愛人がいると言うのに取られた電話は楽し気で…… 「っ    っ、っ   ……」  オレと向き合う際にはない空気が、隔たりを感じさせて居た堪れない。  逃げ出したいけれど、最奥を穿つ杭に声を上げないでいるので精一杯だ。 「  じゃあ、次の休みに行こうな」  そう言って切り上げる。  ぼんやりと聞いた内容は、家族で出かける話だろう。  軋むような痛みを感じて、胸を押さえて奥歯を噛み締める。 「  っ、ご家族で お出かけ です、か?」  抑えた呼吸の下から尋ねると、携帯電話を放り出した部長がオレを見た。  見下ろされるのには慣れたけれど、見下ろすのはまだ慣れない。   睨みつけられると、後唇がジワリと疼いて締め付けるのが分かり、ナカにずっと差し込まれていたモノがそれに反応して脈打った。    本当にこの人は   どうかしてる。  浮気をしながら、あんなにも平然と喋れるものなのだろうか? 「お前は  ちょっかいを出してきた奴と、遠出か」 「   っ、ふ ぅ、  っ!っ !」  電話で中断されていた律動が再開され、ぱちゅん ぱちゅんと肌同士が打ち合う音と、捏ねられたローションの粘っこい音で体を満たされているオレには、部長の問いかけは切れ切れにしか聞こえない。 「な、に ?」  太腿に力を入れて部長の上で腰を振るも、ナカを穿つ熱さと痺れてぐずる子供が体を揺すっているようだった。 「せ、ぱぁ  ぃ?の  こと で   」  ナカを抉られて脳が痺れ、涎と間延びしたバカみたいな言葉が漏れる。

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