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第63話
体の深い箇所をノックされて、足の先まで感じて震えた。
「せん、ぱ い 」
自分が腰を振る振動で、股間の起立したものが腿に触れて涎を垂らすのが、たまらなく気持ちいい。
突き落とされる直前の、崖の上をふらふらとどちらに倒れるかわからないまま歩くような不安感が、癖になる。
喘ぎすぎて乾いた唇を舐めようとしたら、涎が唇の端から零れ落ちた。
「ひぁ ……ぁ、先輩と、出かけ ぁンっ」
顎を伝って流れる涎を舐め上げるように、部長の舌が喉を舐め上げてきた。
熱いのに冷たい軌跡が続き、それが背中を撓らせる程の衝撃を連れてくる。
「もういい」
「ど、 して? きも、ちぃ 」
ナカで膨らむ部長をイイトコロに押し付け、その刺激で視界が白く染まる、先走りをだらだら垂らしただらしのないオレ自身を、ぎゅうっと握り締めて擦り上げる。
「ぃ、あ イイ、ん ィク!イクっ!」
波に乗るような感覚に、射精を宣言して自らを弄り続ける。
「 イ、く か っ!!」
「ふざけるな」
「ひ ────っ」
腕を取られて、あと少しでイケるはずだったソコからは、白い色を滲ませた先走りが滴る。
糸を引くソレが光を反射してからぷつんと切れた。
「他所の男のことを言いながらイクのか」
不機嫌そうに眇められた目と、不愉快そうに歪んだ唇。
「ぃやっ!! ちが、いますっ! 」
出口が見つからず、ぐるぐると回る熱に操られるように、首を振って見せたが、そのせいで体が動いてナカの部長の熱をイイトコロに擦り付ける結果となった。
腰が砕けて、力の籠らない腕じゃ上半身を支えきれなくて、熱い胸板の上に突っ伏する。
早い鼓動と、汗ばんだ肌。
お互いの密着した胸から伝わるのは心臓の音だけで、その大きな音は他のすべての音を駆逐してしまったらしい。
脈拍だけが聞こえる。
「ィ、イかせて お願い し 」
二人の間で潰されたオレの杭がずきずきと痛む。
縋りついて懇願するも許可の声は聞こえてこない。
「お前は 本当に何を考えているのかわからん」
うんざりしたような声で紡がれる言葉の意味が分からず、表情を窺おうとしたが後頭部を押さえ込まれて叶わなかった。
密着した耳に聞こえる心音に変化はない。
「 オレ も、部長の考えていることが、わからないです 」
と と心音が跳ねたような気がしたのは、気のせいだったのか……
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