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第65話

 なぜか、きゅっと首を締められた感覚がして、緩いはずのシャツ襟を掴んだ。 「  何をしている」  急いで部屋を出る前に、風呂場から出た部長がこちらに気づいて動きを止めた。  先程まで体を繋げていたなんて痕跡のない姿に、眩暈がしそうだった。 「すみませ   鍵を間違えて、しまって  だから……」  両手で持ったカードキーに縋り、部長の向こうにあるドアへと駆け出す。  狭いビジネスホテルの通路とも言えないそこは狭く、擦れ違おうとしたオレの喉が部長の体の熱にひくりと引き攣る。  先程までの興奮はまだ完全には冷めておらず、部長の体の熱に引きずられそうになって首を振った。 「失礼し ま    ────っ」  壁に胸をしたたかに打ち付けた。  吸い込む息が邪魔をされ、吸いきれなかった空気を求めて唇が小さく動く。 「 ぶ、ちょ   あの、申し訳ござ  っ」  鷲掴まれた髪や、壁に勢いよくぶつけた部分が痛みを訴える。 「戻っていろと言った」 「で、 です から   戻るために、カードを……っ」  体を押さえていた手がスウェットを乱暴に引きずり下ろし、柔らかさのない臀部を引っ張った。  先程まで部長のモノで苛まれていたソコは、充血しているのか攣れるような感覚を伝えてくる。  指が、とん とん と引くつくその場所をノックした。 「 あ、の」 「まだ十分濡れているな」  二本の指で広げるようにされると、行為の前に使ったローションの残滓が伝う感触がした。  ソレを絡めながら、気まぐれな動きで指先が入り口を行き来する。 「   な にを 」  埋火としてくすぶっていた感覚が、ざわざわとそこから這い上がってくる気がした。 「や  あの  」  あの  に続く言葉が、擦りつけられる熱に遮られて消えた。  強引に押し入ってくるソレは、オレの抵抗なんて無視して……  ぬめりの足りないソコは、無茶なことをされているはずなのに従順過ぎる素直さで、灼けるような杭を飲み込んでいく。  主張する熱さが、ゆっくりと、しかし強引に支配しようと突き上げてくる。 「  ぃっ!! 部長っ  ゴムを、ぁの、せめて  つけ     っ」  ぐじゅりと粘液の擦れる音とと、肌と肌がぶつかってぱしんと小さくなる音が耳に響いてくる。

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