66 / 105
第65話
なぜか、きゅっと首を締められた感覚がして、緩いはずのシャツ襟を掴んだ。
「 何をしている」
急いで部屋を出る前に、風呂場から出た部長がこちらに気づいて動きを止めた。
先程まで体を繋げていたなんて痕跡のない姿に、眩暈がしそうだった。
「すみませ 鍵を間違えて、しまって だから……」
両手で持ったカードキーに縋り、部長の向こうにあるドアへと駆け出す。
狭いビジネスホテルの通路とも言えないそこは狭く、擦れ違おうとしたオレの喉が部長の体の熱にひくりと引き攣る。
先程までの興奮はまだ完全には冷めておらず、部長の体の熱に引きずられそうになって首を振った。
「失礼し ま ────っ」
壁に胸をしたたかに打ち付けた。
吸い込む息が邪魔をされ、吸いきれなかった空気を求めて唇が小さく動く。
「 ぶ、ちょ あの、申し訳ござ っ」
鷲掴まれた髪や、壁に勢いよくぶつけた部分が痛みを訴える。
「戻っていろと言った」
「で、 です から 戻るために、カードを……っ」
体を押さえていた手がスウェットを乱暴に引きずり下ろし、柔らかさのない臀部を引っ張った。
先程まで部長のモノで苛まれていたソコは、充血しているのか攣れるような感覚を伝えてくる。
指が、とん とん と引くつくその場所をノックした。
「 あ、の」
「まだ十分濡れているな」
二本の指で広げるようにされると、行為の前に使ったローションの残滓が伝う感触がした。
ソレを絡めながら、気まぐれな動きで指先が入り口を行き来する。
「 な にを 」
埋火としてくすぶっていた感覚が、ざわざわとそこから這い上がってくる気がした。
「や あの 」
あの に続く言葉が、擦りつけられる熱に遮られて消えた。
強引に押し入ってくるソレは、オレの抵抗なんて無視して……
ぬめりの足りないソコは、無茶なことをされているはずなのに従順過ぎる素直さで、灼けるような杭を飲み込んでいく。
主張する熱さが、ゆっくりと、しかし強引に支配しようと突き上げてくる。
「 ぃっ!! 部長っ ゴムを、ぁの、せめて つけ っ」
ぐじゅりと粘液の擦れる音とと、肌と肌がぶつかってぱしんと小さくなる音が耳に響いてくる。
ともだちにシェアしよう!