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第71話

 軋む体は、まだ節々が悲鳴を上げていて、酷いことをされたのに残る熱が思考を正常に戻してくれない。  ひやりとこちらを見下ろす目も、  力強く乱暴な手も、  それでも抱かれている間は嬉しいと思ったのも、  切り替えができない程まだ生々しくオレの中に残っていて、気を緩ませるとそのことに引きずられてしまいそうだった。  熱に浮かされた嬉しさと、現実に戻った際の落差に心が抉られる思いがする。 「三船、来てたん だな  」  呼ばれて振り返りかけたが慌てて顔を伏せた。  「おい!」と鋭い声に飛び上がったけれど、小さく首を振るとそれ以上声を荒げることなく、隣に座る気配がした。  尋ねようか、どうしようか、そう言った雰囲気がひしひしと伝わってきて、いたたまれなさに負けてそろりと顔を上げる。 「 はは  すみません」 「なんで謝ってんだよ!何があったんだ?」  何が?  生でヤられて、ナカに出されて、気を失うまで攻められた。  挙げ句、酷い面で仕事も満足にできなかった。  そんなこと、言えるはずがない! 「ぅ   ────っ、ぅ」  ぽた……と雫が手の甲に落ちる。 「泣くなって  」  肩がぐっと引き寄せられ、小林先輩の方へと傾いだ。 「すみません   なんか、情けなくて  」 「仕事のことか?」  ぐっと言葉が詰まって、苦しさに体を折る。 「仕事じゃ言えないこともあるよな」  小林先輩はそれ以上理由を尋ねることはせず、辛抱強くオレの背中を撫で続けてくれた。  ず……と鼻を啜る。 「   なぁ、慰めさせて欲しんだけど」 「え  」 「下世話な話じゃなくてさ、食い物と飲み物買い込んで、映画見たり、ゲームしたりして騒いで。一人でいるより、慰めにならないか?」  背中を撫でていた手が、頭をぽんぽんと叩く。  瞬間、思い出したのは部長の手で……  でも、心配して言ってくれた言葉に「ならない」とは返せなかった。

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