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第88話
ぶるりと部長の体が震えて硬直する。
腹の奥に広がる熱は、剥き身のままオレを抱いた証拠で。
擦り込むように二、三度腰を打ち付けてから、部長は体を離す。身を引けば温もりは一片も肌の上に残らず、ひやりとした空気に鳥肌が立った。
「 ッ」
体を起こすと体の最奥から熱い液体が流れ出して太腿を伝う。オレの出したモノと混ざり合って肌の上を伝う様に、昏い喜びを感じるも拭ってしまえば消えるのだと、心の諦めた部分が教える。
「それ で?」
部長は無遠慮に腿のそれを指で掬い、唇の右端を歪めた。
「 は い?」
少し痛むからか、声が掠れた。
何を問いかけられたのか分からない。
「秘書の研修は、こちらで予定を組んで構わないな?」
ひゅっと喉が鳴って息が吸い込めない。
「例年通りなら少し仕事の落ち着く時期に 」
「 う、受けませんっ!嫌だ! 嫌って言いました!」
みっともない金切り声だ。
呆れられるし、また冷たく睨まれるかもしれない。
「どうして、な 何もないように 話せるんですか!?」
顎を掴んで引き寄せられると、眇められた目に睨まれた。
「触らな いで 」
オレの抵抗なんてあってないようなものなのだと思う。現に触れるなと言う言葉を無視して後ろへと手を伸ばしてきた。
指が皮膚を伝い、肉の壁を押し広げて躊躇もなくナカを掻き混ぜる。
「 ぅあっ」
縋りついて首を振るも、指は内壁を擦るように動く。
ぬるつきが水音を立ててシーツに落ちる音がした。
「股から精液を零しながら、どこに行く と?」
「 っ」
事実なだけにその言葉は赤裸々で聞きたくなくて、身を捩って逃げようとしたけれどそれも許されない。
びくともしない手に必死に抵抗しては見るものの、部長が力を抜くわけもなく、
「 せんぱ っ」
細やかにでも逆らおうと開いた口は、なんの前触れもなく塞がれて、胸を叩くもどうにもならない。
舌が唇を擽るように舐めた後、咥内を満遍なく犯してくる。
絡ませてくる舌から逃げようとすれば引き戻され、反応しないようにとしたところで呆気なく掴まって、気づいた時には部長の舌を追いかけて縋りついてしまっていた。
水音が骨を伝って体に響く。
微かに身を引いた部長を追って伸び上がり、先程唇を舐められたように今度は自分から部長の唇を舐めた。
「 ぅ」
髪を掴んで引っ張られ、互いの間にできた距離の分だけ唾液が銀の糸を引いた。
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