89 / 105

第88話

 ぶるりと部長の体が震えて硬直する。  腹の奥に広がる熱は、剥き身のままオレを抱いた証拠で。  擦り込むように二、三度腰を打ち付けてから、部長は体を離す。身を引けば温もりは一片も肌の上に残らず、ひやりとした空気に鳥肌が立った。 「  ッ」  体を起こすと体の最奥から熱い液体が流れ出して太腿を伝う。オレの出したモノと混ざり合って肌の上を伝う様に、昏い喜びを感じるも拭ってしまえば消えるのだと、心の諦めた部分が教える。 「それ で?」  部長は無遠慮に腿のそれを指で掬い、唇の右端を歪めた。 「 は い?」  少し痛むからか、声が掠れた。  何を問いかけられたのか分からない。 「秘書の研修は、こちらで予定を組んで構わないな?」  ひゅっと喉が鳴って息が吸い込めない。 「例年通りなら少し仕事の落ち着く時期に  」 「  う、受けませんっ!嫌だ! 嫌って言いました!」  みっともない金切り声だ。  呆れられるし、また冷たく睨まれるかもしれない。 「どうして、な 何もないように  話せるんですか!?」  顎を掴んで引き寄せられると、眇められた目に睨まれた。 「触らな いで 」  オレの抵抗なんてあってないようなものなのだと思う。現に触れるなと言う言葉を無視して後ろへと手を伸ばしてきた。  指が皮膚を伝い、肉の壁を押し広げて躊躇もなくナカを掻き混ぜる。 「 ぅあっ」  縋りついて首を振るも、指は内壁を擦るように動く。  ぬるつきが水音を立ててシーツに落ちる音がした。 「股から精液を零しながら、どこに行く と?」 「   っ」  事実なだけにその言葉は赤裸々で聞きたくなくて、身を捩って逃げようとしたけれどそれも許されない。  びくともしない手に必死に抵抗しては見るものの、部長が力を抜くわけもなく、 「 せんぱ   っ」  細やかにでも逆らおうと開いた口は、なんの前触れもなく塞がれて、胸を叩くもどうにもならない。  舌が唇を擽るように舐めた後、咥内を満遍なく犯してくる。  絡ませてくる舌から逃げようとすれば引き戻され、反応しないようにとしたところで呆気なく掴まって、気づいた時には部長の舌を追いかけて縋りついてしまっていた。  水音が骨を伝って体に響く。  微かに身を引いた部長を追って伸び上がり、先程唇を舐められたように今度は自分から部長の唇を舐めた。 「  ぅ」  髪を掴んで引っ張られ、互いの間にできた距離の分だけ唾液が銀の糸を引いた。

ともだちにシェアしよう!