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・ 怒涛の午前指導を先生から受けたあと、 昼休憩が一時間。 作成した本日の報告書を先生に提出しようと席へ向かうがその姿は見られず…。 「お?報告書もう出来たの?」 二カッと笑いかけてきた津田(ツダ)さん。この人も俺が幼少期の頃お世話になった人だ。 「あ、はい。なんですけど先生がいなくて」 「俺渡しとくよ。初日だしな。昼休憩ちゃんととってきな」 差し出された手には小さな傷跡。 実はこれ、俺が負わせたものだったりする。 全く負わせた当時どんな状況だったか記憶は無いものの、俺のせいで怪我をしたという記憶はある。 「ありがとうございます」 お礼をいい報告書を渡すと、 大きな手のひらで頭をぽんぽん撫でられた。 「まさか本当に先生としてここに戻ってくるとはなぁ。俺は感動だよ…でっかくなったもんだ」 家族というものがどういったものか俺には分からなかったけど、大切にするべき人やものが自分にもあるのだということを、ここで先生は教えてくれた。 それでいうと津田さんも俺にとって大切な人。 だからなんだかこうやって自分の成長を喜んでもらえるのは照れくさい。 しくしくと泣き真似をする津田さんに笑いつつ、お昼休憩いただきますとその場を後にした。 やっと先生とゆっくり話せるかもしれないのだ。 至る所を先生が居ないか探した。 ・

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