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家に帰り徹夜で終わらせた報告書。
そして朝、周りよりも1時間近く早く出勤して担当患者についての細かい注意事項や、体調、食事についてをまとめる。それがやっと終わった頃。
「おはようございます」
「おはようございますー」
直ぐにわかった。先生の声だ。
俺の癒し到来。
「わぁ!京さんじゃないですかー!!おはようございます!」
「京さん!!お久しぶりです!おかえりなさい」
「一緒に出勤なんて恋人みたいですね仲良し〜」
女子職員の黄色い声とともに聞こえてきたあの名前に思わず反応した。ああ。一緒に出勤ね…。
泊まったんだ。と瞬時に理解する。
朝から気分が悪いわこりゃ。
「夜野」
ポンポンと叩かれた肩、横を振り向けば先生と、そしてにこにこと張りつけた笑顔をこちらに向けるある男。
あー。はい、こいつが京さんね。
「おはよう先生」
そんな奴視界に入っていないかのように、先生の腰に抱きついてみせた。
「おはよう…酷い顔だね」
そりゃそうだ。先生に早く追いつきたくて五日与えられた期間など無視して一日で終わらせたのだから。ちょっとは見直してもらいたい。あわよくば惚れ込んでもらいたい。下心丸出しだが、それは置いといてこの仕事が好きだからもある。
この仕事をするからには全力で。
先生がいるから。ただ会いに来ただけ。だなんて思って欲しくない。
「先生のせいだぁ〜」
先生が好きなこの仕事が俺も好きだよ。
同じところに立ちたいんだよ、俺は。
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