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・ ぎゅっと耐えるように強く閉じられた目。 先生は目を閉じてキスするんだな、なんてアホな事考えてた。 長いまつ毛が震え、ゆっくりと瞼を開いた。 目が合うと同時その綺麗な瞳からポロポロとこぼれ落ちる涙。 「…っ、…」 直ぐに顔を見られまいと逃げようとするから、 すかさず頬を抑えこちらへと顔を向かせる。 「ねえ…なんで泣いてるの」 嫌なら何故抵抗しなかったのか。 俺のキスなんか受け入れて。  酷く泣き顔が綺麗で、暴力的な愛おしさが込み上げる。もっと泣かせたいと思ってしまう。 もっと触れたくなる。 「…っどこで、そんなん…っ」 泣いているからか途切れ途切れに伝えてくる先生。 「どこで…覚えてきたんだっ、」 次々こぼれ落ちて止まる事の知らない涙に、順にキスをしては舐めとる。 胸が張り裂けそうだった。 そんなこと聞いてどうするの。 先生には京さんがいるのに。 「さぁ…どこでだろ。」 平気を装うのに必死だった。 俺は過去の人でしょ。 「そんな傷ついた顔しないでよ」 なのに先生がそんな顔するから。 俺の白衣を掴んで、泣いているから。 先生の事離せなくなっちゃうよ。 抑えていた気持ちがもう止められなくなる ・

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