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第4話
飲み物を買って藤宮さんのいるベンチに戻ると2人の女性が藤宮さんに話しかけていた。
それを見た僕は胸の辺りにチクチクとする何かを感じた。
どうしてこんな・・・。
藤宮さんから2人の女性が離れて行くと何故かホッとしてしまっている。
僕は・・・藤宮さんが・・・好き?
1年前に会ったと言われても憶えていなくて少し遊園地で遊んだくらいで藤宮さんを好きだというのか?
違うと思うように目を閉じて首をブンブンと左右に振っていると頬に温もりを感じた。
藤宮さんの大きな手が僕の頬に優しく触れていた。
「少し休んだから良くなったよ。ありがとう。」
「あっ、えっと飲み物をその・・・・。」
「うん。あそこに座って飲んだらあれに乗らないか?」
藤宮さんが指で示す先には観覧車が見えていた。
「もう日も暮れてくるし夜景が見たいんだ。」
「はい。」
触れられた頬が熱くなり身体の血が沸騰しているようだ。
僕は藤宮さんの後についてベンチに座り買って来たジュースを口にするが味が分からないくらいに藤宮さんを意識し始めていた。
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