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 メールを開く。 『少し仕事が立て込んでいます。今日は無理そうです』  …相手は忙しい社会人で、こっちは大学生なのは理解していたが、ここ4日ばかりこればっかりだ。  そろそろ飽きられたか?  ごろんと寝床に転がり、手を伸ばす。  左手に嵌められた指輪を外して指先で弄ぶ。  内側に彫られた『akiyosi』の文字と、ひっそりと嵌め込まれた赤い石を見つめる。  きっと、佐藤の方にはオレの名前でも彫ってあるのだろう。  ベタベタなそれに気恥ずかしさを感じつつも、後悔もしていた。  向こうに彫られてるのは、ケイトって名前だ。 「…嘘吐かなきゃよかった……」  佐藤の顔を思い出しながら寝返りを打つ。  全開にした窓から見える空を見上げ、4日間ご無沙汰のせいか、佐藤を思い出すとすぐに反応しようとする下半身を押さえて深く息を吐き出す。  いつもなら4日も放っておかれたら、男漁りに出掛けるのだが…  気が乗らない  自分らしくないないじゃないか!…と胸中で叱咤してみたものの、やはり漁りに行こうと言う気は起きず、どんよりとした気持ちを抱え込む事になった。 「…調子が、悪いだけだ……」  強がりのように言うと、操を立ててる訳じゃない…と弱々しく呟いて目を閉じた。

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