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「………あの…ケイト?」  聞こえてきた佐藤の声に、ほっとしたのは気の迷いだ。 「…怒ってるかな?」  久し振りに聞いた声は、戸惑っていた。  怒ってるか怒ってないかで問われたら、怒ってはいたが…だからと言ってそれを言う気はない。 「全然」 「………声、変だな」  一言で気付いた事に驚きつつ、そんな事はない…と返す。 「泣いてた?」 「んなわけあるかっ!風邪ひいただけだっ」  言ってから慌てたが、後の祭りだった。 「具合は?」 「…熱がちょっと。あと、喉が痛いかな」 「今からそっち行くから」 「はぁ!?ちょっ…大丈夫だから!」  そう怒鳴ったが、もう通話は切られてしまっていた。反応のなくなった電話をぼんやり見つめていたが、はっと我に返る。 「ぅ…わ!」  辺りを見回す。  普段は男の独り暮らしにしては片付いている方だったが、この2日の為に部屋はゴミも含めて散らかっていた。  ここに…来ると?  さぁ…と血の気が引く。  慌ててゴミ袋に散らかった物を放り込み、洗濯物をまとめて汗だくの体をなんとかしようとシャツを脱いだ所で、チャイムが鳴った。 「はやっ!!」  玄関に駆け寄り、力を込めすぎると壊れるんじゃないかと思える戸を開けた。

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