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「…ぅ…ん」
首筋に流れ落ちた汗をくすぐったく感じて拭い、窓辺に腰かける。
少し太陽が沈みかけたせいか、どこか涼しく感じる風を気持ちよく思って目を閉じた。
「…見られるから、こっちに来ないか?」
「えー…暑いよ」
そう言いながら、気だるげに座り込む佐藤の隣りに座る。
佐藤がふと、大きな溜め息を漏らした。
「どした?」
「…抱くつもりじゃなかった。具合悪いのに……ホントにすまない」
肩を落とす姿が愛しく感じて、その膝の上にのし掛かる。
「この一週間、会えなくて気が狂うかと思った…」
「大袈裟だなぁ」
その首に手を回し、再び起立した牡の上に腰を下ろして行く。
そんな事言われた事がなかった。
忙しかった…とか
忘れてた…とか
全身で求められる事に、ぬるま湯に浸かっている様な気持ちよさと同時に、怖さを覚えて戸惑う。
また突然、捨てられたら…?
軽い体だけの付き合いなら、切れた所で痛くも痒くも無い。
けれど…
こちらを真摯に覗き込む黒い瞳を見つめ返す。
連絡の無かった2日間を思い出し、それが続くのかと思うと内臓がひんやりと冷える気がした。
「んっ…ぁ…ナカ、いっぱい…っ」
「抱きたくて抱きたくてたまらなかった!」
そう佐藤が胸中を吐露する度に、体内の質量が増していく。ゆるゆると突き上げてくる刺激が焦れったくて、腰を振ってナカを擦り上げる。
「傍にいてくれ、ケイトがいないと…生きて行ける気がしないんだっ」
「あ、ああぁっ…ぅんっ!」
「なぁ、俺を頼るって言ってくれ」
「ぇ…?んっん…やぁ……おねが…動いてぇ…っ」
「俺がいないと駄目だって、言ってくれないか」
肩口に歯を立て、じりじりとせり上がる快感に首を振る。
「言ってくれ!」
「……ぅ…んっ!!」
いやいやと首を振ると、ペアの指輪を嵌めた手がしっかりと顔を挟み込む。
「愛してるんだ」
「…っ」
快楽に追い詰められて行く中、微かに頷いたのを、佐藤は気付いてくれただろうか?
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