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「西宮さん、こちらです」  傍らの姉の言葉に、愕然となる。  生真面目そうな顔が、オレではなく隣りの姉を見て微笑んだ。 「お待たせして申し訳ありません。はじめまして、西宮秋良(にしみやあきよし)です、小夜子さんとお付き合いさせて頂いてます」    後ろに背の低い両親らしき二人を引き連れた佐藤は、そう言ってオレに手を差し伸べてきた。  その手を、掴む。  …笑え!  笑うんだ。  そう自分に言い聞かせ、精一杯口角を上げてみせる。 「はじめまして…」  震えないようにそう応える事が出来た時、オレは自分自身に拍手を送ってやりたかった。

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