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 オレはそれから、なんだかんだと店長の家に入り浸った。  こちらの方が気分が楽だったから。  あの部屋には佐藤との思い出が多過ぎる、一人でいると様々な事を思い出し眠れないまま朝を迎える事も少なくなかった。  ここにいれば思い出す事もない。  人肌があれば夜眠る事もできた。 「ほとんどここにいるんだから、こっちに住めばいいのに。部屋余ってるよ?」 「アパートがあれば便利だから」  そう言って誤魔化す。  こっちに完全に転がり込めないのは、店長との関係が終わった時に帰る場所がないと困るから…別れる前提で付き合うのもおかしな話だが、予防線を張っているに越した事はない。  後は…どこかで佐藤との思い出を無くしてしまいたくなかった。  結局、捨てる事の出来なかった指輪と同じように… 「俺が寛大じゃなかったら、浮気してるのかと思うとこだよ?」  左手に嵌められたままの指輪を見ながら言われた厭味に、肩を竦めて答える。 「だって…デザイン気に入ってるし」 「同じの買って上げるから~」 「ペアでしてくれるならいいですけど」 「…やぁだ。指輪するとムズムズするっ!揃いのピアスにしようよ」 「ピアスぅ?絶対にやだ」  耳に穴を開けるのを想像してぶるりと震える。  考えただけでも卒倒しそうだった。 「痛くないって」 「やーだやだやだ!」 「尻にモノ入れる方が絶対に痛いから!」 「痛くねぇよ。つーか痛いって思うなら入れるなって」  こう言う軽いやり取りが好きだ。  そうやっている間は佐藤を思い出さないから…  オレはあいつに捨てられたのに、オレの生活はまだあいつに左右されていた。

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