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 違う  その意識がどうしても拭えない。  ほっそりとしていたが、こんな細さじゃない  小夜子がもう一つの指輪をこちらの指に嵌めようと手を取るが、オレはそれから目を逸らすように強張る首を動かして最前列へと視線を動かした。  視界の端に入った彼が、泣いている。  感涙に咽ぶ人達とは、明らかに異質な様に思えたその泣き顔に、どきりとする。  もう、泣かさないと決めたのに  泣き濡れた彼の目がこちらを見た時、はっと息を止めた。 『ケイト』  ――――ケイトだ   指輪の嵌められていく手を振り払えたら…  出来もしない事を考えながら彼女の唇に誓いのキスをする。  嬉し涙に瞳を潤ませた彼女を置いて、そこで肩を震わせて涙を拭っているケイトに駆け寄って問い詰めたかった。  何故、オレが君の指輪を持っているのか…  何故、圭吾なのか…  何故、そこに座っているのか…  披露宴で流されるお互いの幼い頃の写真も、気付けば小夜子ではなくその隣に写る天真爛漫そうな笑顔の幼いケイトばかりを見ていた。

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