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「いい加減に…しろよ…っ」  襟を掴み返された拍子にテーブルのコップを倒してしまい、その派手な音に店中の視線がこちらに集まるのを感じた。  居心地悪くなり、仕方なく手を離す。 「はっきりさせて、どうすんだ?あの嫁さんを泣かすのか?この子だって今は別の恋人がいて、幸せそうにしてるだろ?お前のエゴでそれを壊すのか?」 「…」 「相手だって新しい生活をしてるんだ。お前だって新しい生活をするべきだろう?」  低く唸るような言葉に、首を振る。 「いい年して我が儘言うな!」 「…違う」 「お前は…っ」 「新しい生活なんかしてない…」  彼の写った写真を握り締める。 「……まだ…指輪をしてた…」  憐れみの目でこちらを見詰める誠介に手を伸ばす。 「ケイトはまだあの指輪を嵌めているっ!」  憐れみの目を真っ直ぐに向けてこちらに放たれた、辛辣な一言がオレの胸に突き刺さった。 「でも、お前は外したんだろ?」

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