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相変わらず、オレにはこの店は似合っていないような気がした。ましてや向かいに座る人間が無精髭のヘビースモーカーとくれば、なんとなく店の雰囲気から浮いているように思えてしかたがなかった。
「急かすからまとめてねぇぞ」
そう言ってバラバラとテーブルの上にメモを放り投げる。
その一枚を摘まみ上げて内容を読もうとするが、字が独特すぎて判別できない部分が多い。
「あ、コーヒーとチーズケーキ2つずつで」
「なんだ、ここの名物知ってるのか?」
店員に注文しているのを聞いてそう言うと、ピシャリと額を叩かれた。
「ここをお前に教えたのは俺だ。ちなみに『Kate』を教えてやったのも俺だ」
「彼の事も?」
「ケイトじゃねぇよ。『Kate』だよ、ほんっと覚えてないのな」
「覚えてたら、こんな事を調べてくれなんて頼まん」
メモと取っ組み合いながらそう言うと、誠介はいつも通りのニヤニヤとした笑みを作った。
手の中の文字を追う。
日付と『インスタント 粥5、果物(りんご?) 3、長葱 1』と書かれており、更に隅の方に『風邪』と走り書きがされている。
「これは?」
「ん?」
チーズケーキを頬張りながらメモをチラリと見ると、ああ…と頷いた。
「その日、お前らは久し振りに会ったみたいだな。この2、3日前からケイトがひどい風邪を引いてたみたいで、アパートに行く前に近くのスーパーでそれを買ってる」
「………そんな事まで分かるのか……怖いな、探偵って…」
胡散臭い仕事をしていると侮っていたが、そんな事まで調べる事ができると言うのは、恐ろしいと言うしかない。
「いや、そうでもないぞ。流石に体位までは分からん」
「分からんでいい」
そう言って更に何枚かメモを捲る。
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