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「あんま重い事すると逃げられるぞ?」
その言葉の意味がわからず、怪訝な顔をする。
「安っぽい指輪に出会い系…sexも手慣れてたんじゃないか?」
「…」
「貞操感が低い奴の様な気がする。束縛とか、それっぽいのはアウトかもな」
「そんな事…」
反論しようとしたが、出来る程ケイトの事を知らない。
「まぁ…後腐れなくていかもな」
「別れるつもりなんてないっ」
「分かった!分かったから落ち着け。俺達が別れ話をしてるように見られるだろ?」
その言葉にはっとなって店内に視線をやると、明らかに不自然に視線を逸らす客がいた。
「う…」
「まぁ、お前がいいならいいけどさ。…指輪が欲しいなら、どっかそこら辺の露店のでいいだろ」
「そう言うのじゃなくて…」
「はぁ~面倒臭ぇ!……ケイト…ケイトねぇ…『Kete』ってブランド知ってるか?」
「いや」
生憎と、そう言うブランドやらには一切興味が湧かない質だった。誠介は懐から自分の名刺を取り出すと、その裏に何事か書き付けてからそれを寄越してくる。
「なかなかいい値段のばっかりだが…コレを見せて注文してみろ。色々優遇してくれるから」
名刺の裏には、ミミズが動いた後の様な文字が書かれていた。
訳がわからずにいると、新しい煙草に火をつける。
「恩を売ってある。まぁ、そこのにするか、露天のにするかは好きにしろ」
そんなの、決まっている。
「店の場所教えてくれ!」
「勿体ないと思うけどなぁ」
彼に似合いそうな物ならば、幾ら掛かっても構わない。
店の場所を聞き出すと、その足で店へと向かった。
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