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 ぐゎんぐゎんと音の響く頭を抱えて起き上がるが、眩暈が酷くてそれ以上は動けなかった。 「…」  頭を押さえ様と手を上げると、掌から指輪が零れ落ちる。視界の端を転がり、床に落ちたそれを拾おうとして倒れ込む。 「う…」  床に倒れ伏しながらケイトの顔を思い描き、昨夜触れた唇の感触を思い出す。  もう一度、触れたい。  そう願いながら立ち上がる。傍の机を掴んでなんとか眩暈を堪えると、壁伝いに歩き出す。 「小夜子…?」  時間を確認すると、いつもなら小夜子が朝食を作っている時間だった。キッチンにも部屋にも人の気配がない事に気付いた。  テーブルの上のメモを取る。 『少し、留守にします』  小夜子らしい几帳面な字に視線を落とし、昨夜突き飛ばした事を思い出す。 「…ああ………」  流石に出て行ったか…  申し訳ないと思う気持ちよりも、彼女がいなくなればケイトとの関係が変わるのではないかと言う期待の方が多い事に気が付いた。  綺麗に整えられた部屋。  幾ら夜遅くなっても待っていてくれた。  初めて会った時、こちらに向けられる笑顔の美しさに嬉しくなった。  けれど… 「………最低だな」  一人自分に毒突きながらも、どこかで彼女の事を疎ましく思う気持ちが燻り続けていた。

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