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 片手で前に触れると、何に期待したのか既に立ち上がりかけていた。 「ん…」  先端をくるむ様に手で覆い、竿と手の間の皮を優しく動かしてしごく。  記憶の中の指使いを懸命に追いかけるうちに、きつく閉じた瞼の間から涙が零れてシーツにシミを作った。 「…ふぅ…んっ……ぁ、」  前だけの刺激ではもの足りず、圭吾の左手は何かに急き立てられるかのようにその奥の秘部へと伸ばされていく。  秋良の目にそこを晒しながら指で弄った記憶にすがり付き、ひくりひくりと物欲しげに収縮を繰り返す蕾へと指を忍ばせる。 「あっ…」  つぷり…と指先が入り込む感触に身体中が総毛立つ。  弄り続けた前から垂れた先走りを絡めながら、にちゃりにちゃりと音を立てながら解きほぐし、指を増やしては馴染ませる為に挿入を繰り返していく。 「ぅあ…っ!ア…キヨ……シ…」  胸板に顔を埋めて息を吸い込むと、いつも汗の臭いに混じって洗剤の匂いが微かにした。それが心地よくて、くすぐったいと言う秋良にしがみついていた。  大きな手が背中に置かれると、その温もりと安堵感だけでふわふわとした気分になるのが好きだった。 「…ぅっ……アキヨシ…」  啜り泣きながら背中を冷たいシーツに押し付け、問答無用で快感を産み出す箇所を指先で執拗に刺激していくと、瞼の裏が真っ白にスパークする。 「ぁっあ、あ、っ…!!っ…く………」  差し込んだ指先が引きつれ、シーツの冷たさはイケそうでイケないもどかしさを生む、繰り返し幾ら自身の指でいたぶっても何かが足りなかった。

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