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街中の花壇の端に座り込み、ぼんやりと行き過ぎる人々を見やる。
マンションに戻らない…と言った手前、家にも帰れずに圭吾は途方に暮れていた。
また以前のようにビジネスホテルにでも泊まるか?
いや…と続ける。
それも癪に触る。
そう自問自答しながらほぅ…と溜め息を漏らした。
「同棲してると…こう言う時面倒だよなぁ」
会いたくなくても顔を合わせざるを得ないと言う部分を、圭吾は微かな負担として感じていた。
足を投げ出し、天を仰ぐ。
晴天とは言いがたい空に向かってもう一度深々と溜め息を吐きつける。
草臥れた革靴が、傍らでコツリと音を立てた。すぐ傍に立った男に気付き、圭吾が顔を上げる。
「人待ち?」
問われ、答えに逡巡する。
答えない圭吾に、男は更に問い掛けた。
「神待ち?」
またも答えに躊躇い下を向く。
「─────いや、違うよ」
「そう」
興味なさげに言って男は圭吾の隣に腰掛ける。
ぷん…と漂ってくるきつい煙草の臭いに嫌悪感を感じ、圭吾は顔を歪めて立ち去ろうと立ち上がった。
男の手が、腕を掴む。
「っんだよ、放せ」
「君…」
勿体振るように間を取り、
「ケイトだろ?」
煙草をくわえながら男はそう尋ねてきた。
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