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 手の中の写真を細かく破り、コンビニ前のゴミ箱に突っ込む。 「…っくそ!!」  悪態をついてゴミ箱を蹴りつけると、店内でレジをしていた店員がぎょっとなって圭吾を睨んだ。  その気まずさに、ぶちぶちと文句を言いながら歩き出す。 『はい』  チーズケーキの隣に置かれた2枚の写真をぽかんと見やる。 『は?』 『君が、秋良と縒りを戻す気がないって分かったからいいや』  次の煙草を取り出しながらそう言われ、圭吾は困惑を隠せないままに首を傾げる。 『なかなかいい覚悟だったよ。これならあいつも普通の生活が送れるな』 『…おっさん…あいつの……何?』 『ん?学生時代からの友人だよ』 『……』 『あ、いや、悪友かな』  誠介はにやりと笑う。 『どうだか…』 『結婚式にも参加したんだけど?』 『えっ…』 『髭はなかったけどな』  そう言って随分と髭の伸びている顎を撫でる。 『………あんた、アキヨシと俺の事…』 『全部知ってる』 『…マジかよ』  秋良の人柄とあまりにも違う男が本当に友人なのか信用しきれない部分はあったが、圭吾は肩を落として項垂れた。 『…で、なんの用?』 『君、恋人と気まずいんだろ?』 『……』  反論しようとした所で、出来る言葉を持っていない事に気付いて圭吾は下を向いた。  左手の傷痕に指を這わせ、小さくこくりと頷いて見せる。 『やっと落ち着いたあいつんとこに行きゃしないか心配になってね』 『……行くわけがない』  自分自身に言い聞かせるように繰り返す。 『行けるわけがないだろ?俺は…姉さんが幸せである事が大事なんだから』 『ふぅん。大事なのは分かった。…で、自分の幸せはどこにあるんだ?』  問われ、圭吾は一拍置いた後にぷっと噴き出して笑い始める。  隣に座っていた女性が奇妙な物を見る様な目でちらりとこちらを見やったが、圭吾は構わずにからからと声を上げた。 『おっさん、何がしたいんだよ…』 『俺は本音が聞きたいんだ』  吸い終わった煙草を指先で弄び、誠介は肩を竦めた。 『そうかよ』  喉の奥をくつくつと鳴らし、笑いを堪えながら水を煽る。

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