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『来年は、ちゃんと祝おうな』  その言葉に恭司の体が震えた。  大丈夫。  来年も、ケイは傍らにいてくれる…  そう何度も、自身に言い聞かせる様に胸中で呟きながらシャワーを止めた。  流れる名残の水が足をすり抜けて消えていく。 「ケイ…」  そう呟いて恋人の横たわるベッドルームへと向かった。  室内灯が落とされ、間接照明だけに頼ったその部屋の中は薄暗く、リラックスの為にそうした筈なのに、今はただ陰鬱な気持ちを増長させるだけだった。  カーペットの上をそっと歩き、圭吾が酔い潰れて横になっているベッドの端へと腰掛ける。  圭吾は、恭司が寝かせた時から寝返りを打ったらしく、俯せになって枕を抱え込みながら健やかな寝息を立てている。 「飲みすぎだよ」  ギシリとベッドを軋ませながら少しだけ近寄り、 「…俺との事以外で何かあっただろ?」  相手に聞こえないのを知りながら囁き、圭吾の靴下を脱がす。 「お前が深酒するのは……」  続きを呟こうとして、ぶるりと体が震えた。  とっさに自分の体を掻き抱き、その悪寒が服を着ていないせいだと言い聞かせる。  そして、違う言葉を紡ぐ。 「ワイン、ありがとうな……愛してる、ケイ」  間接照明の淡い光を浴びて白く浮かび上がる足に口づける。 「…ん……っ」  小さな刺激に、眠りながらも身じろぐ圭吾に続ける。 「…愛してるんだ」  きちんと爪の切られた足の親指を口に含む様にして舌を這わし、柔らかなキスを繰り返しながら爪先から脛、膝へと口づけて行く。  スラックスの上からではあるが、恭司が唇を落とす度に小さな吐息がふ…と漏れる。  圭吾を仰向けるとベルトを外してスラックスをずらす、縮こまっているソレを口だけで器用に引き起こしてくわえると、恭司は丹念にソレに愛撫を加え始めた。

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