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「こんな所につけんなよ!俺…こんなのつけて店に出てたのか!?」 「そうだよ」 「そうだよじゃねぇだろ!…こんな……俺の見えない所にっ」 「見えないからいいんじゃないか」 「はぁ!?」 「俺のだって分かるだろ?」 「誰に分からせるんだよ!」 「んー…店の客とか?ケイを狙ってるの多いから」 「こんな事しなくったって、恭司のパートナーだって皆知ってるよ!」  肩で息をしながら言葉を区切る圭吾に、恭司は薄く笑みを見せる。 「…どうかな?」 「んだよ、それ…」 「知ってても、手を出したがる奴も居るから」  ぺろりと舌を出し、茶目っ気たっぷりに微笑んで圭吾の手を掴む。 「似合ってるね」  カットされ、茶色に染め上げられた髪を指で梳きながら感想を述べる。  圭吾が恭司の店に面接に来た頃を思い起こさせるその姿を懐かしく見やった。 「話し逸らすなよ」 「逸らしてでも言いたいんだ。よく似合ってる…すごく」  梳いた髪に口付けられ、圭吾は文句を言おうとした口を閉ざして俯く。  髪を弄る指が時折地肌や耳たぶに触れ、からかう様に圭吾の心をくすぐる。話を逸らすためにわざとそうされていると知りながら、圭吾はその手を振り払えずにそのまま恭司の掌に頭を摺り寄せた。 「ケイ…」 「ん?」 「…愛してる」  万感の思いを込めたかの様な、搾り出される一言に圭吾が目を瞬かせる。 「どうしたんだよ?急に…」 「急じゃない」 「いや、…うん。そうなんだけど…」  恭司の手が圭吾を抱き寄せた。 「恭司?どうしたんだよ」  圭吾のうなじに顔を埋めてその匂いを肺一杯に吸い込もうとする恭司を、怪訝な顔で覗き込む。 「………いや、ケイが可愛いから」 「可愛いって年じゃねぇよ」 「いや、可愛い。…だからすごく愛しい」  「愛しいんだ」と抱き締める腕に力を込めて、恭司はうわ言の様に繰り返した。

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