195 / 312

48

「ケイ、火傷は!?」 「…大丈夫、大分冷めてたから」 「そうか、良かった」  ほっとした顔を見せる恭司の後ろから、青い顔をした小夜子も顔を覗かせる。 「本当に大丈夫?救急車呼ぶ?」 「大袈裟だよ!それより、ごめん。スープも駄目にしたし…汚しちゃって…」 「そんな事、気にしないの!」  圭吾が火傷らしい火傷をしていないのを確認した小夜子が安堵にほっと息を吐いた。それからずぶ濡れの弟を見て苦笑する。 「着替えなきゃね、秋良さんの服を借りてもいいかしら?」 「……そうだね、こっちだよ」  ずぶ濡れの圭吾にタオルを渡しながら、秋良はそう言って廊下へと歩き出した。    水を吸い、重く冷たくなった服に身を震わせる圭吾を部屋に入れる。  秋良が寝室兼書斎代わりに使っているそこは、主の性格を現したかの様に飾り気もなく、シンプルな家具で統一されていた。  その部屋を見回している圭吾に、着替える為の服を手渡す。 「サイズが大きいのは我慢してくれ、あと…趣味が違うのも…」  申し訳なさそうにそう言って頭を下げる秋良に思わず笑みを零し、圭吾は肩の力を抜きながらそれを受け取った。 「相変わらず、だなぁ…」 「……」  砕けたその言葉に二人がはっとなって見詰め合う。 「ぁ……と、…すみません。お借りします」  受け取った服を抱えて部屋の隅へと向かう圭吾を名残惜しげに見やり、秋良自身も着替えを取り出す。圭吾が見えない様に背を向けると、水が跳ねて濡れてしまった服に手を掛けた。

ともだちにシェアしよう!