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「圭吾なら細いから…」
「姉さんはもっと細いから無理だよ」
苦笑してほっそりした姉を眺める。
もともと凹凸の少ない体型ではあったが、久し振りに会った姉は以前にも増してそれに拍車が掛かっているように思える。
「ちゃんと食べてる?なんか悩みでもある?」
「太れない体質だって、知ってるでしょ」
やはり姉弟で体質が似通っているのか二人ともなかなか太らない体質で、そのせいか華奢な…悪く言えばひょろりとした印象の体つきをしていた。
「火傷は?」
リビングに行くと、心配顔の恭司が檻の中の熊の様にそわそわと行ったり来たりを繰り返していた。
「ぜーんぜん」
「赤くなってるんでしょ?」
「ちょっとだけだよ…」
「それで秋良さんと睨み合ってたクセに…」
拗ねた様な口調で言う小夜子の言葉に恭司が食いつく。
「睨み合ってた?」
硬い感情を込めたその声音に、圭吾が飛び上がって恭司の傍らへと行き、何でもないと続ける。
「睨み合うなんて、尋常じゃないだろ?」
「俺が大袈裟だって言うのに、義兄さんが引かなかっただけだよ…」
そう言い、落ち着かな気な恭司の腕を引いてソファーへと座らせると、自らもその隣に腰を下ろす。腰を落ち着かせた二人を見やり、小夜子はお茶を入れて来る…とキッチンへと向かった。
思わぬ所で出来てしまった二人だけの時間に、もぞもぞと座り直しながら気まずそうに圭吾は俯いた。
「体…見せたのか?」
「見せて…ないよ」
嘘を吐いた…そう自覚はあっても止められなかった。
「触られた?」
「…何、馬鹿な事言ってんだよ」
顎を掴まれた。
物理的にはそれだけしか触れ合ってはいなかったけれど、秋良の視線は確かに圭吾の肌の上を這ってその存在を刻み付けていた。
「キス…していいか?」
首を傾げて顔を近づけてくる恭司を押しやる。
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