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「今日はありがとうございました…最後、慌しかったですね」  小さく苦笑して小夜子は使わなかった皿をキッチンへと下げる。その姿を見やりながら、秋良は曖昧に頷いてソファーへと腰を下ろした。 「谷さんって、面白い人ですよね」 「……」  やはり曖昧に返事をしながら秋良は圭吾が腰を下ろしていた部分に手を這わす。  そこに彼の温もりを見つけたくて…  布以外の温もりを持たないそこに圭吾の残り香を見つけられず、肩を落として立ち上がる。 「ちょっと部屋に行っ…」 「寂しいですか?」  思わぬ言葉で台詞を遮られて秋良は驚いて目を見開いた。 「圭吾が帰って、……寂しそうです」 「そりゃ」  渇きを訴える喉に唾を押し込む。  いつも穏やかな顔に険しさを見た様な気がして秋良は身じろいだ。 「…人が減ると、静かだからね」 「……そう、ですね」  苦笑し、軽く首を傾げる小夜子はいつも通りの表情で…  秋良は先程感じた険しさが気のせいだったのかと胸中で呟いた。 「片付け、手伝うよ」 「いえ、大丈夫。あ…でもさっき携帯が光ってたと…」  キッチンへと踵を返した小夜子はテーブルに放り出されていた秋良の携帯電話を手に取る。

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