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仕事から帰り、扉を開ける。
「………おかえり…」
そこに幽霊の様に立ち尽くす圭吾を見つけて、恭司はやっと安堵する。
生気のない表情で、壁に寄りかかる様にして帰りを待つ姿を見てほっと胸を撫で下ろす事が出来る。
「ただいま」
猫の目の様に、よく表情を映していた瞳はどこか虚ろだった。
その原因も、原因を作ったのが誰なのかと言う事も全て分かっていながら、それでも恭司は圭吾の外には出したくなかったし、他の誰の目にも触れて欲しくなかった。
ぼんやりと立ち尽くす圭吾の髪を撫でながら、そっとキスをするけれど、その目と同じ様にどこかぼんやりとしたついばみしか返っては来なかった。
「愛してる」
囁くと頷きはするが、それ以上の反応は得られない。
「………」
深く口付け、その腰を抱き寄せても反応は緩慢で…
そして一筋、涙が流れ落ちる。
「…………ケイ…」
「…なに?」
「俺を見て」
一度瞼を下ろし、視線が恭司へと向く。
「俺の事、見て」
「…見てるよ…」
涙を溜めた目で見上げ、圭吾はそう繰り返す。
「…っ……」
その目の中に、物理的に恭司の姿は映っていても、その心の中に誰が居座っているかは明白で…
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