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 恭司はもう一度、搾り出すように問いかける。 「俺を…見てくれないか?」  ぱたり…  答える代わりに、雫が恭司の手に落ちる。  伝い、流れて、それは床へと落ちてまた小さな音を立てた。 「……っ」  ぎゅっと恭司の眉が寄る。  震える手が拳を形作った。 「…ぅ……っうああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

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