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「………姉さんは…どうするんだよ…」
その胸板に頬を摺り寄せながら、ぽつりとどうしても忘れ去る事の出来ない人の事を口にする。
圭吾の発したその言葉に秋良の体が小さく跳ねる。
「……」
「な?」
「…」
「だから…」と続けようとした言葉が遮られる。
「……っ…もう…無理なんだ…、圭吾、…小夜子は……俺達の事…」
続きは振り下ろされた圭吾の拳に遮られて言葉になる事はなかった。
どん…と圭吾が秋良の胸を叩く。
「な…に?なんで…っ…どうしてっ!?」
「……」
「ばらしたのか!?答えろよ!」
ゆるゆると首を振るが、秋良はどう答えていいのか分からずに口を閉ざす。
圭吾と間違えて小夜子を抱いたと、言う勇気が秋良にはなかった。
「どうして……っ…」
膝を折り、泣き崩れる圭吾を追う様に秋良も膝をつく。
「顔を見せてくれないか?」
「…っ……」
秋良の言葉にいやいやと首を振り、聞き分けのない子供の様に腕で顔を覆って圭吾はしゃくりを上げる。
「なん…っ俺っ…っ………姉さんが、し、…幸せに……っ」
「圭吾」
「離…せ……っ」
肩を抱きしめようとする秋良の手を振り払い、圭吾は逃げる様に後ずさる。
「俺が…また、姉さんの幸せを…ぶち壊したんだっ!!俺っ…、俺が…っぅ…」
「圭吾っ!!」
鋭い声で名を呼ばれ、圭吾はびくりと体を震わせて顔を上げた。
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