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 当座必要なものを一通り買い揃える。  二人の趣味が微妙に違っていた為に保留にした物もあったが、昨日がらんとして見えたその部屋は随分生活感が出てきていた。 「使えるならミカン箱でも何でもいいよ」 「いや、せめてちゃんとしたテーブルを…」 「狭くなるだろ?」  そう言いながら小さなダンボールの上に置いてある惣菜を摘まもうとして傍に置いてあったマグカップに手が当たった。 「ぅわっっ!」  倒れる寸前で秋良がそれを掴んだ為に零れる事はなかったが、二人してほっと胸をなで下ろす。 「せめて折り畳みのがいる」 「…だな」  渋々答えてから鮭おにぎりに手を伸ばした。 「ベッドは?どうする?」 「それこそ狭くなる」 「ダブルのが必要じゃないか?」  そのあまりにも真剣な物言いに、圭吾はぷっと噴出した。 「この狭い部屋のどこに置くんだよ」 「ここは間に合わせだから…でも、二人で寝るならそれくらいいるだろう?」 「一つの布団で十分だよ。その方が引っ付いて寝れるだろ?」  からかうように言う圭吾に、秋良は軽口が理解出来なかったかのように真面目な顔つきで頷く。  その表情があまりにも融通の利かないものに見え、圭吾は笑いを噛み殺すために一度おにぎりを下ろさなくてはならなかった。 「冗談だよ」 「分かっている」  そう答える顔もやはりいつもの生真面目な顔で…  圭吾は父親がどうしてこの男を後継者にと考えたのかわからなくなり、自然と首を傾げた。

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