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「こう言った関係は…世間に受け入れてもらえないんだぜ?」 「…」 「差別とか…されたり…」 「…」 「俺は…、もう無くすものなんてないけどさぁ…」 「…」 「お前は違うだろ?」  社会人として培ってきたものがある。  仲のいい両親がいる。  心配してくれる友人も。  今までの生活。  これからの未来。  安定したすべて… 「色んなもん…無くすんだぜ?」 「圭吾をなくすより…いい」  掴まれたままの腕を引かれ、抵抗することもなくその腕の中に納まる。  伝わる温もりを再び失う事を考え、ぶるりと体が震えた。 「…っ」 「両親には……いや両親だけじゃないが…申し訳ないと思っている。でもな?それでも俺は……圭吾と人生を歩んで行きたいんだ」 「でも、俺にはっ」  弾かれたように顔を上げた圭吾の瞳を、生真面目な黒い瞳が覗き込む。 「…俺には…お前の人生に、何も与える事ができない」    あの結婚式の時のような周りからの祝福も、安穏とした生活も… 「何も、いらない」 「……子供も…か?」  小夜子との生活を選べばいつか手に入るかもしれないその存在を出され、一瞬秋良の瞳が揺らいだ。 「それは…」 「お前は、子供…欲しくないのか?」  揺らいだ秋良の表情を圭吾が見つめる。 「俺は、昔からだから…あんまり思わないけど………アキヨシは…ノンケだったからさ…」  姉との結婚の時に、そう言う事を考えはしなかったのかと続ける言葉が消えた。 「…ぅんっ……」  言葉が喉を滑り落ち、代わりにねっとりとした水音が耳を打つ。 「ちょ…っ」  顎を固定されて動けないまま、圭吾は秋良の唇が自分のそれを塞ぐのを押し返せなかった。

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