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『公共の場では止めましょう2』
どんっと勢いよく圭吾をエレベーターの壁に突き飛ばすと、その振動でエレベーターが急停止した。
「な…に………」
怯えた顔がこちらを向く。
そんな顔をさせたかったわけじゃない。
ただ…ただ…こちらを見て微笑んでほしかっただけだ。
猫のようなその目を細めて、笑ってほしかっただけだった。
細い腕を掴む。
力を入れると折れそうな…
「く…くんな…来ないで…」
掴んだ腕が震えていた。
拒絶の言葉なんか聞きたくない!
その薄めの珊瑚色の唇を手で塞ぐ、はっと見開かれた目が怯えているのを見たくなくてエレベーターの壁の方へと顔を押し付けて体を密着させる。
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