282 / 312

7

『公共の場では止めましょう2』  どんっと勢いよく圭吾をエレベーターの壁に突き飛ばすと、その振動でエレベーターが急停止した。 「な…に………」  怯えた顔がこちらを向く。  そんな顔をさせたかったわけじゃない。  ただ…ただ…こちらを見て微笑んでほしかっただけだ。  猫のようなその目を細めて、笑ってほしかっただけだった。  細い腕を掴む。  力を入れると折れそうな… 「く…くんな…来ないで…」  掴んだ腕が震えていた。  拒絶の言葉なんか聞きたくない!  その薄めの珊瑚色の唇を手で塞ぐ、はっと見開かれた目が怯えているのを見たくなくてエレベーターの壁の方へと顔を押し付けて体を密着させる。

ともだちにシェアしよう!