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『圭吾君の初恋』
低く答え、秋良の手が圭吾を押し倒した。
「えっ!?」
「…いま、なんか無茶苦茶……むかむかする」
「……え?」
笑みの欠片もない険しい瞳が圭吾を射る。
その目が、唇、喉…胸へと移動していった。
「や…あの……むかむかって?」
「…嫉妬してる」
「はぁ?」
「圭吾に触った…その空手の先生に」
ぷっと噴出す。
「指導だよ?そう言う触り方じゃないって!」
「…その先生の事好きだったんだろ?」
「え…まぁ」
「それにも妬いてる」
引き結ばれた魅惑的な唇に、圭吾は笑いながら口づける。
「お前、意外とやきもち妬きだなぁ」
「圭吾が好きな奴が圭吾に触ったのに腹が立つ」
ぷぷっと笑い、止まらなくなった笑い声がテントの中で反響する。
秋良氏はかなーりやきもち妬きだと思います。
ま、彼、むっつりだから!
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