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『キャンプ場では止めましょう』
少し時期がずれたせいか、そのキャンプ場には他に誰もいなかった。
「貸切だなぁ…」
「ああ。ちょうどよかった」
そう言って秋良は手慣れた風に荷物を広げ始める。
「俺、やり方分からないんだけど…」
「じゃあ、シート敷くからそこで休んでるといい」
そう言って秋良はブルーシートを広げた。
圭吾は遠慮なく靴を脱いでそこに転がる。
季節がずれたとは言えまだまだ続いている暑さに、圭吾はシャツを脱いだ。
「あっちぃ…」
「虫に刺されるぞ」
「あっついんだもん…」
ごろんと転がる圭吾に溜息を吐き、秋良が虫除けのチューブを持ってブルーシートに上がる。
「ほら、塗るから」
「んー…さんきゅ」
その腕を取り、チューブから出した透明なジェルを掌全体を使って塗り込む。
ざわ…と圭吾の肌が泡立った。
「つめ…」
「ああ、冷感タイプって書いてあったから」
両手にたっぷり取り、ほっそりとした背中に手を這わす。
虫除けのジェルを塗るその手つきは、どこか煽情さを含み始め…
「前も」
「前は自分ででき…」
ちゅっと口づけられ、圭吾は言おうとした言葉を飲み込んだ。
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