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『ただののろけです』  今日で三か月目…新しい仕事にも慣れ、生活リズムが出来てくると心にどうしてもあった不安の塊が薄らいでいくのを感じ、秋良は腕の中で寛ぐ圭吾をぎゅっと抱きしめた。 「んんっ苦し…どうした?」  きょとんと首を傾げる。 「いや…愛しいなって思って」  そう返すと、一気に圭吾の首筋が赤く染まり、「そうかよ」と口の中で呟いてぷいっとテレビの方を向いてしまった。  照れる姿が愛おしい…  深夜、夜な夜な台所で涙を流しながら震える姿が愛おしい…  腕の中、ちらりと見上げてははにかむその姿が愛おしい…  愛おしさで破裂しそうになるのを押さえる為に、そっとその赤い耳に唇を寄せた。  本当は三か月、いちゃこらする筈でした。  でもその後の事を考えた時、三か月会社を無断で休んでいた人間を社長がどう思うか…でした。事情も知っちゃうだろうし…でも、妊娠と分かる期間を設けないといけない…  それで、結局、秋良と小夜子の冷め切った期間が出来たのでした~

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