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『秋良君のどこがよかったの?』
「お前、本当に仕事とかそんなんで大丈夫なのか?」
父が後継者に…と選んだ意味が分からず、圭吾は眉をしかめた。
「大丈夫だ。問題ない」
「……なんでこいつを選んだんだろ…」
取引先の、ましてやこんな融通の利かなさそうな奴…と胸中で思っていると、その考えを読んだのか秋良が肩を竦めた。
「圭吾は勘違いしてる」
「あ?」
「河原のお義父さんが俺を選んだのは、文句を言えない立場で、仕事が出来て、浮気なんかしなさそうで、出世欲が薄いからだよ」
「それは……けなされてないか?」
「いや、まぁ…そうなんだけど。お義父さんは俺じゃなくて、孫に継がせようとしているみたいだよ」
その淡々とした物言いに、そうか…と流しかけた圭吾の動きが止まる。
「………ちょ…おま…っ!!怒れ!」
「え?」
「怒っていいところだっそれはっ!!」
どんっと踏みしめた床が微かに震えた。
「いや…気にしない。実際そうだしな」
「~~っ!!」
「昔からあまりこだわりがないんだ……初めてなんだ」
指先が圭吾の首筋をくすぐる。
「こんなにもこだわったのは…執着したのは」
「~~~っ、知るかっ!」
…秋良氏、不憫。
でも、秋良氏の怒りの沸点が良くわからない。
念のため言っておくと、秋良氏は実は有能らしい…とかなんとか
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