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『有罪、サスペンス劇場』
ざぁ…と強い風が耳元で唸り、圭吾は思わずその胸に縋り付いた。
「…怖い?」
「……ん。…アキヨシと一緒なら…大丈夫」
そうは言っても、眼下の白く泡立ち、大きな音を立て続ける海を見ていると心細さで一杯になった。
それを押し隠したくて圭吾は最後のキスを秋良にねだる。
「ん…っ」
熱いその体温が失われることに、地面が抜け落ちそうな恐怖が襲う。
今ならまだ
今なら…
幾度もそう思うが、二人引き離されずにと願うにはもうこれしか考えられなかった。
崖の上、風にもまれながらじりじりとその先へと向かう。
「圭吾」
「…アキヨシ」
言葉を聞き逃したくなくて、お互いの耳に唇を近づけて囁く。
―――――愛してる。
いつも胸を抉るその言葉に涙を滲ませながら、二人は固く手を握り合い一気に空へと身を躍らせた。
これ、一番最初に考えてたラストです。
二人で崖から海に飛び降り心中して、秋良氏だけが生き残り、罪を抱えて生きて行く…みたいな?ちょっと後味が悪すぎて変更しました。
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