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第5話

ベッドから起き上がり、シャワーを浴びに浴室へと入る。 歩く度に、ドプリと最奥に注がれた精子が溢れ出して流れ落ちる。 慣れ親しんだ温もりと肌の感触。 自分の身体はきっと、小関さんの型に作り変えられている。 シャワーを浴びながら溜め息を吐く。 (そろそろ潮時なのかも知れない…) ぼんやりと考えていた。 すると浴室のドアが開き、小関さんが入って来た。 「ちょっ……小関さ……んぅ!」 強引に唇を塞がれ、結局、浴室で後ろから貫かれた後、湯船でも散々に泣かされて意識を失った。 目を覚ますと、小関さんが申し訳無さそうに僕の髪の毛をゆっくり撫でて 「和哉…すまない。」 と、そう呟いた。 「小関さん、何かあったんですか?」 ゆっくりと身体を起こして訊いた僕に、小関さんは悲しそうな笑顔を一瞬浮かべると 「しばらく…会えない」 そう答えた。 「え?」 ベッドから降りて振り向くと 「まぁ…ひと月だが…。しばらく、地方に行かなければならなくてな…」 タバコに火を付けると、小関さんはいつもの表情に変わる。 シャツを着ながら 「そっか…。お土産、待ってますね」 と笑顔で言うと、後ろから小関さんに抱き締められる。 「浮気しないで、良い子で待ってろよ!」 頭にキスを落とされ、その手がゆっくりと離れた。 タバコの匂いと、小関さんのコロンの香り。 大好きだけど恋愛とは違う。 『相馬』 僕はまだ、晃さんの声を…笑顔を忘れていない。 身支度を整えて小関さんとラブホから出ると、丁度、学校へ行く高校生と目が合う。 かなり爽やかなイケメンで、僕達を見て嫌悪感丸出しの顔をした。 (まぁ…そんなもんだよな…) 僕はこの時、気にもしないで彼とすれ違った。 これが…僕と一条海との最初の出会いだった。

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