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第62話
翌日、なにやら1階が大騒ぎになっていた。
俺は部屋で謹慎中だったから、部屋から出る事は許されなかったので
(騒がしいな〜)
くらいに思っていた。
すると渚が部屋を飛び出して
「俺も行く!それで、相馬先生は大丈夫なの?」
と叫んで玄関から飛び出して行くのを聞いた。
和哉さんに何かあったのは分かった。
でも、ここで俺が飛び出したら…。
そう考えて、何も出来ない自分を呪う事しかできなかった。
不安を抱えて部屋に居ると、部屋のドアがノックされてドアが開く。
ベッドに座って頭を抱えていた俺に
「海。小関弁護士から、粗方話は聞いた。何故、関係を強要したと嘘を吐いた?」
と、父さんが呟いた。
意味が分からなくて顔を上げると
「お前と相馬さんが、きちんと付き合っていたと聞いた。恋愛だったら、とやかく言うつもりは無い」
そう言うと、ゆっくり俺の前に座った。
「相馬さんは今、肺炎で入院している。発見された時には意識が無くて、今も昏睡状態らしい」
と言われて、俺は慌てて立ち上がる。
…でも、あぁ…別れたんだって崩れるようにベッドに座る。
俺の様子を見て
「なぁ、海。父さんはお前が例え男性と付き合ったからと言って、闇雲に反対はしない。きちんとお前の話を聞かせてくれないか?」
って言うと、俺を真っ直ぐに見つめた。
「父さん…ごめん…」
俺はそう呟くと、和哉さんとの出会いをぽつりぽつりと話を始めた。
父さんは馬鹿にしたり、言葉を遮る事無く、黙って話を聞いてくれた。
そして最後に
「そうか…。お前も辛かったな」
と、父さんは言って俺の頭を撫でた。
そして
「守ると決めたらなら、最後まで守り抜きなさい」
って、背中を押してくれた。
そして俺の手に紙を握らせると
「相馬さんの入院先と、入院している部屋だ。学校終わりなら小関さんも居ないだろうから、見舞いに様子を見るくらいならして来なさい」
そう言うと
「殴って悪かった」
って言い残して部屋を出て行く。
俺は父さんの書いた紙を握り締め
「ありがとう」
と呟いた。
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