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第7話

 オレは砂浜で服を脱ぎ捨てスキンスーツを身につけた。  この時間は人がいない。  前もそう思っていたら人がいたけどな。  オレは苦く笑う。  いないはずの人間に邪魔されて、あの人とここでひき離された。  5年前。  まだ胸が苦しい。    オレはまだ冷たい海の中に入っていく。  週末、オレはここに来る。  この海に。  そして潜るのだ。  ただ、潜るだけ。  素潜りという程ではないけど、オレは海に潜るようになった。  ここに一番良く来るけれど、あの人なら喜んだだろうな、と船に乗って瀬戸内海の島に行き、そこでも潜る。  ただ、潜るだけだ。  ただ、海の中を漂うだけだ。  あの人を探して。  水の中で抱きしめた裸体。  手を離してしまった身体。  包んでいた毛布はどこかへ流れて、白い身体がオレのつけた跡を刻んだまま、水の中を漂う。  手を放すべきではなかった。  ずっと離さないように身体を縛っておくべきだった。  オレは水面を見上げる。  光る天井みたいな水面を。    もっと深い水底へ二人で沈むべきだったのだ。  オレはもういないあの人を探している。  ここに来たら会える気がして。  真冬でも潜る。    高校をなんとか卒業して、今はフリーターだ。  海に来れるようになってやっと、まともになれた。  男と心中事件を起こしたオレに色々言う人がいたが、オレはどうでもよかった。  死んだみたいに生きていた。  海の中であの人をさがす時だけ、生きている気持ちになれる。  何故か気にかけてくれている茶髪先輩が、たまに連絡をくれる。  たまに食事する。  あの人について何も聞かないのを不思議がっているが、あの人の墓なんか聞いてどうする。  あの人はそんなところにいるはずがない。  いるなら・・・この海のどこかだ。   あの人の島の海かもしれないけれど。  広い海のどこかにあの人はいる。  オレは水面に向かって手を伸ばす。     長く潜れるようになってきている。  素潜り自体には興味はないのだけど。  一応海水浴のできる海ではあるけれど、綺麗とは言えない水の向こうで、何が白いモノが動いていた。  イルカ?    バカなことを思った。  こんなところに真っ白なイルカがいるわけが・・・。  それは白くて、自在に海の中を飛んでいるようだった。  真っ白な、しなやかな・・・。  それはオレにちかづいてきて、オレは驚きのあまり大きく息を零してしまった。  沢山の水泡が叫び声の代わりに零れた。  真っ白な身体。  何一つ身につけていないあの人が、まるで宙に止まるかのようにオレを見下ろしていた。  海の中で白く光る肌に、オレの胸はざわめいた。  オレは水中のあの人に向かって腕を伸ばした。  もう離さない。  オレを浜まで引っ張って行ったのはあの人だった。  オレに抱きつかれたまま、浜へと向かう。  イルカとかに引っ張られたらこうなるんかな、と思う凄い勢いで。  「あんなとこで抱きつきやがって殺す気か!!」  先輩は浜で怒鳴った。  顔色が違った。  確かに真っ白なんだけど、血の気のある白さだった。  目はあの時みた深い水をたたえたような目で、今は怒りが溢れでていた。  怒鳴り声も、もうだるそうに話してなくて・・・。  オレの胸を叩く腕にも力があって、あのだらんと脱力していた手足とは違っていた。  生命力に溢れた、あの人。  5年前と、何も変わってないのに変わっていた。  「病気・・・治ったん?」  色々言いたかったが出てきたのはそれだけだった。  何で死んだことにされていたのか、なんで今ここにいるのか。  何で。  何で。  「もうようなった、ごめん・・・会いに来れなくてごめん・・・なかなか来れへんかったんや」  あの人がオレの頬を撫でた。  「泣きなや」  あの人が苦しそうに言った。    「泣くやろ、オレが、オレが、オレが,・・」  どんなにあんたを捜したか。  オレはそう叫ぶ代わりにあの人を抱きしめた。    濡れた熱い肌。  もっと熱くなるのを知っている。  気がつけば首筋に歯を立てていた。  「ここは・・・嫌や。砂が入る」  あの人が身をよじらせた。    まだ寒いことを思い出した。  あの人を抱きしめたまま、荷物をおいた場所へ向かう。  オレはあの頃よりはるかに大きくなっていて、あの人を横抱きにして運べるようになっていた。  置いていたバスタオルと毛布であの人を包む。  包む時にあの人の身体をじっくりと見た。     何も変わらず、綺麗な身体で、誰かとしてる跡はなかった。  そして、大人になったオレはあの人が、思っていたよりも華奢だったことを知る。    「あんたの服は?」  一応聞く。  裸で泳いだならどこかに置いているんやろ。    「もうええ。そんなんええ」  あの人がオレの首に腕を回しながら言った。  ああそんなものどうでも良かった。  オレだって。  オレは停めていた車の後部座席に、あの人を横たえた。  運転席に向かい、エンジンをかけて暖房をいれようとしたけれど、あの人が嫌がった。      「そんなんええから・・・ええから・・・」   オレもそんなものどうでも良かった。    一秒でも早く繋がりたかった。  あの人の上にのしかかり、その唇を塞いだ。  海の味がするキスをした。  辛くて、甘かった。  「・・・やっぱり、水は欲しいねん」  あの人が言ってオレは笑った。  運転席にあったペットボトルの水をくちうつしで分け合って飲んだ。  して  して、いっぱいして  あの人がオレの耳を噛みながら言った。  オレはあの人の胸に手を伸ばす。    もう尖っている乳首を摘まんだ。  ゆっくりと揉みしだく。  んっ   ああっ   あの人が声を漏らす。  この人は乳首を弄られるのが大好きなのだ。    「誰にさせとったん、先輩か?」  オレは低い声で言う。  この人が男無しでいられるわけがない。  オレを騙して秘密にしたまま、茶髪先輩がこの人を犯していたのかとおもったら、怒りで頭が焼き切れそうになる。  「アホ。誰にもさせてへん・・・ホンマやで」  先輩は言ったがそんなの信じられなかった。  身体に痕はなくても。  確かに身体は真っ白で、誰にも触れられたことのないように清らかだったけれど。    「あんたが我慢できるはずがないやろ」  オレは乳首に爪を立てた。    痛っ  そう言いながらあの人は、性器を膨らませていく。  痛いのが好きなのだ  「ホンマや・・・だから、優しくして・・・5年ぶりやから・・・ハジメテみたいなもんやから・・・」  あの人は甘えるように言った。  嘘くさいと思ったけれど、愛しくてたまらなかった。  それに、もうこの手に取り戻した。    もうここからはオレだけや。  それで良かった。  だから、優しくあの人の胸に口づけた。  あの人のハートにキスするために。  この人は、オレだけのものや。  そう思って。       乳首を舐めた。  海の味がした。  でも、甘い。  吸えば尖った。  芯をもっていくソコが可愛くて仕方なかった。  吸うて  もっと吸うて  あの人が胸を突き出してくる。  「知っとる、ここ苛められるん大好きやもんな、ここだけでイかされたいんやろ?」  オレは音をたてて、軽く吸ってやった。  あの人がオレの頭を抱きしめ、髪に指を立てる。  吐息が甘かった。  噛んだ。  ああっ  あの人が身体にを震わす。  強く歯に力をいれたなら  腰まで震わせた。  完全に勃起していた。  痛いのが大好きってどこまで・・・エロいんや。  そして、ゆっくり離して舐めた。  甘く口の中で溶かしていく。  そして、吸う。  反対側も指で摘まんで回してやった。    ああっ  ええっ  好きぃ  これ、好きぃ  ピクピク性器を震わせながらあの人が泣く。  もう、濡れているそこを触ってやらない。  乳首だけでイくのがこの人が大好きなのを知っているから。     イく  イく!!  あの人が叫ぶ。  なんて可愛い。  熟しきった乳首を強く吸ったなら、腰を自分から突き出し、射精した。    確かに乳首はオレが触るまで、蕾のようではあった。  毎日弄られてた頃は何時でも熟しきっていたのに。  本当に?  もしかして、本当に?    オレはあの人の穴を撫でた。  あの人が喘ぐ。    指を潜りこまそうとしても、出来ない。  硬いのだ。  毎日毎日してるから、女のソレみたいになってる、と茶髪先輩が言っていたソコは、きつくしまっていた。  思わず指に力が入る。  あの人が呻いた。    「優しく解して・・・長いこと使うてへんのや、なぁ?」  強請る声に頭がおかしくなりそうだった。  嬉しくて。  嬉しくて。  こんな身体のあんたが・・・してへんかったん?  5年も。    「してへんかったん?」  震える声で聞いた。  「言うたやろ」  あの人が膨れる。  「オレのため?」  目を覗き込む。  深い深い海の底が見える。  「そうや」  きっぱりいわれて涙がこぼれた。  まだ15才の少年みたいに泣いた。  「どうせお前はしてたんやろ」     あの人がオレのを手で扱き始める。  「めちゃくちゃした。沢山抱いた」  オレは正直に言った。  身体が乾いてしかたなかった。   誘い誘われたなら誰でも良かった。  男でも女でも、誰でも。    茶髪先輩が煩く言うので、コンドームだけはしていたけど。  あの人セーフセックス好きやなぁ。  まぁ、その通りやねんけど。  「・・・・・・」  あの人がややこしい顔をしたので笑った。   嫉妬出来る立場じゃないと思いながら、それでも気に入らないとでもいうような顔。  なんて可愛い。    「オレのハジメテと最後はあんたや」    あの人の扱く指に呻きながらオレは言った。  淫らな指使い。   とんでもなく上手い。    「オレも今日がハジメテや」  ヌケヌケというこの人が可愛くて、オレはその手の中に放った。    「そやな、そういうことにしとこ」      何でも良かった。  もうオレだけにしてくれるなら、それで良かった。  そして、そうしてくれていたことに涙が出た。    あの人の脚を広げた。  肩に担ぐ。  慎ましく閉じた穴を見つめた。   もう、オレだけのモノ。  夢中でなめていた。  あの人は嬉しそうに声をあげはじめる。  狭い車の中であることも、もう大して気にならなかった。  この人の中に入ることしかかんがえられなかった。     「痛くないんか?」  オレはゆっくり腰をすすめながら言った。  「んっ・・・大丈夫」  あの人は少し顔を歪めた。  「新鮮や・・・入れたら痛がるあんたなんて」  オレはクスクス笑った。  こんなの見たことなかった。  「人にヤられてる男を観るのが好きな変態は黙っとき」  あの人が睨んだ。  でも、馴染みはじめた感覚に蕩けはじめてる。    「変態やから・・・あんたが大好きなんやで。でも、もう人には触らせん」  オレはゆっくり腰を動かしはじめた。  「うん・・・オレはもう、お前だけ」  素直に頷かれて、声が零れた。  涙が出てしまう。    「オレのや」  腰を揺らす。  ええ  これ好き   あの人が喘ぐ。  甘く甘く腰を使った。  あの人の中で自分のモノが溶けそうだった。  溶けて、混じり合う。  溶ける  とけちゃう  あの人が叫ぶ。  緩やかな快感を分け合う。    んっ    ああっ  決定的な刺激は外して、擦りあげられる中にあの人はすすり泣きをはじめた。  腰が自分から揺れる。  もっと、はっきりしたモノを欲しがっている。、  欲しがって。  もっと欲しがって。   オレだけを。  「刺してや・・・突いてやぁ・・・」  自分で必死に腰を動かし始めたこの人が可愛すぎて、焦らすことができなくなった。      重く突いた。  普通なら痛いだけになる程強く。    ひいっ     笛のような音があの人の喉からした。  この人はその突き上げに性器からおもいきり、迸らせた。    苦痛すら、この人には快感なのだ。  その淫らさに、興奮した。  「したる、めちゃくちゃにしたる」  オレは乱暴に突き立てた。  ああっ  ええっ  もっとぉ  あの人が欲しがる。    食い破るように突き上げ、めちゃくちゃに腰を回した。  もうほぐれてはいたけれど、狭いそこが軋むのがたまらなく良かった。  こんな身体のくせに。  こんなことが好きな変態のくせに。  オレは乱暴に突きまくる。  してぇ  もっとぉ  ああっ  これ好きやぁ     あの人が泣き叫ぶ。  性器からダラダラと零れたままで、穴がなんどとなく痙攣している。  イキっぱなしなのだ。  「誰ともせんかったんか・・・オレだけなんか・・・」  もう嬉しすぎて泣いた。    こんなにも淫らなこの人が、オレだけになってくれたことが、たまらなく嬉しかった。  その中に吐き出しながら、オレの精液を欲しがる穴の吸い付きに泣きそうになった。  オレだけ。  オレだけのや。  もう絶対にもう二度と離さない。    車を走らせ、ラブホに飛び込み、またやった。  さすがのあの人も、「無理」というまでやった。  「もう、ヤり殺されるつもりはないからなあ」  あの人が笑う。  オレはそれでもあの人の身体のあちこちに悪戯をしかけずにはいられない。  また背中を吸って痕をのこす。  「なぁ・・・お願いや」  あの人が乳首を弄るオレの指を押さえつけながら言った。  真剣な調子にオレは指を止める。  「んっどうしたんや」  髪にキスしながら言う。  この人はもうオレの腕の中に収まってしまう。  15の頃には同じ位の体型だったのに。  この人は変わらない。  本当に変わらない。  「まだ、自由になってへんねん。アイツに会って話しして?・・・そしてオレを島に帰して?」  アイツが茶髪先輩やとわかった。  茶髪先輩があの人を囲ってたのか。  「親友に戻れた」という言葉は本当で、あの人を茶髪先輩が抱いてなかったのはわかったけれど。  怒りが溢れる。  あの人がオレの唇にキスした宥めるように。  「アイツは悪ない。ええか、アイツは悪ないねん。今会えるんもアイツのおかげや。分かって?」  あの人は親友を庇う。  庇うだけの理由がある。  それも聞かせて貰わないとあかん。  「ちょっと寝たら、一緒に先輩のところに行こう」  オレは欠伸をしながらいった。  限界やった。  暖かい身体を抱きしめた。  「オレを帰して?・・・島に」  あの人は言った。  頷いた。  二人で島に。  オレに出来る仕事はあるだろうか。  島に行こう。  もうずっと二人で暮らすのだ。              

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