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オマケ 恋じゃなくても

 その子が来た時、みんなその子に恋に落ちた。  褐色の肌。  目がキラキラと光っていた。  ほったらかしの髪はショートカットにしては延びっぱなしの印象だったけど、ウェーブのかかった髪の伸び方まで可愛いと思ったのはオレだけやなかったと思う。  女の子にしては低い少しかすれた声も、なんか良くて、初めて効くその声は遠い南の島の訛りがあって、それも良かった。  クラス全員、男子も女子も関係なく恋に落ちた。  憧れという恋だから、もう止めようがなかった。  後から男だとわかったところで。  その子が女子だとしても、クラスの女の子達はそのまま恋をしただろう。  だから我々男子も、まぁ、男と分かっても恋をした。    キラキラしてて、明るくて、透明で。  なんかクラブのみんな光モノを集めるカラスみたいに その子があんまり光るから夢中になった。  何よりオレが一番夢中になって。  男やとわかるのに2日かかったけど、でも、まぁ、もう、どうしようもなくハマってたので、そのまま親友になった。  そういう恋だった。  憧れを煮詰めただけの綺麗な。  それはそのまま友情になった。  海を恋しがるその子を連れて、家族と一緒に海に行き、海に放たれたその子を見て、また心を鷲掴みにされた。  人魚みたいだった。  海の中で自在に泳いでいた。  スイミングスクールで期待された選手だった自分が叶わないと思った。  競技のための泳ぎとは全く違っていて・・・。  海に住む人がいるのだと知った。  ただ憧れたのだ。  胸を吸っていた。  ここを弄られるのがコイツは大好きなのだ。  毎日弄られ続けて、赤く尖ったままのそこをしゃぶる。  女の胸よりここが気にいるようになるとは思わなかった。  小学生の時、女の子だと思っていたコイツが体育の着替えでいきなり教室で服を脱いだ時、ペタンコの胸に男だとわかってがっかりしたのが嘘のようだ。  その時がっかりした胸に今は興奮している。  ピチャビチャとしゃぶり、舐める。  ああっ  好きぃ  あいつが身体をそらせるようにして感じてる。  でも感じてるのはここだけじゃない。  後輩が、尻に入れて夢中で腰をぶつけているし、もう一人はコンドームをつけたあいつの性器を必死でしゃぶっているからだ。  オレもあいつのを咥えるのが好きだ。  なんなら飲みたいとさえ思っている。  有り得ないことに。  でも、それは禁止にしてる。  飲まない。  飲ませない。  後、一度にするのは3人まで。  でも、これは何度か破られてる。  仕方ないとは思う。  居合わせたなら、しないで帰るわけにはいかないだろう。  あいつのこの姿を見たら。  ちんぽ吸うて  ケツまんこにぶちこんで  乳首噛んでぇ  あの声が信じられないほどいやらしい言葉を叫ぶ。  陽の下にいなくなった肌は白く妖しく光る。  哀れな後輩は叫び声を上げて、腰をぶつけていく。  血走った目が哀れすぎる。  ここに来てまだ。  コイツに哀れな恋をしているからだ。  コイツと普通の恋が出来るとまだ信じているのだ。  コイツが射精したので、性器をしゃぶっていたヤツが自分のにコンドームを嵌めて、コイツの喉を犯し始める。  コイツは飲みたがるがダメだ。  これはルールだ。  何かないとダメだ。  それがなくなると、オレ達は獣になって、コイツを喰い殺してしまうだろう。  このルールは、オレ達をまもるルールだ。  いずれ、コイツから逃げるための。  可哀相なコイツと、オレ達は一緒に死んでやることができないのだ。  どんなに思っていても。  オレは、歯で乳首を扱いてやった。  性器を突っ込まれ犯された喉から漏れる声が、どこの刺激からなのかは、わからなかったけれど、口にある乳首の感触はたまらなくて、また舐めて吸った。  唇がこれを欲しがる。  どんな女の胸よりも。  コンドームを外されたあいつの性器から、また精液がほとばしった。  たまらなくいやらしくて、可愛いと思ってしまった。  先輩、先輩!!  後輩が叫ぶ。  必死で中をえぐりながら。  乱暴に犯す。  「オレは優しいしたるからな」  その耳に囁けば、アイツの指が強請るようにオレの腕を握った。    可愛い。  可愛い。  なんて・・・可哀想なんだ。  それでもオレは乳首で楽しみ続ける。  コイツがここが大好きだから。  そしてオレもここが好きなのだ。    そのガキが来てからアイツはどこか嬉しそうだった。  奇妙なガキだ。  オレ達としているアイツを見て、アイツに惚れ込んだくせに、行為に加わろうとはしない。  セックスを眺め、事後の後始末をするためにいる。  変なヤツだ。  変態だ。  後輩とは違った。  アイツに中学の時から惚れ込んで、この学校までおいかけてきた後輩は、オレ達がしてることを知って泣き叫んだ。  でも、アイツを抱くことを選んだ。  迷いなく。  他の男が広げたそこに突っ込んで、最初から奥に入ろうとした。  誰よりも奥深く。  今はオレに貫かれ揺れているアイツにキスするのに夢中だ。    「先輩、先輩・・・」  その声は可哀想な程甘い。  綸姦で童貞喪失したこの後輩がオレには哀れすぎる。  恋人とキスしているつもりなのだ。  こんなものが恋人とのセックスなんかで有り得ないのに。  誰かに貫かれながら震える身体を抱きしめてするキスなんて、本当に惚れた相手なら辛すぎる。    「気持ちええか?」  それでも、アイツを揺らすオレの声も甘い。  痛くて苦しいのを望んでいるのがコイツなのに、甘く溶かしてやりたいとか思ってしまうのだ。  んっ  ええ  ええ  キスの合間に零れるアイツの声も甘い。      やはりアイツの胸は他の奴らも好きらしく、もう一人がそこを音をたてて吸っている。  二年前まで、無邪気に同じ部屋でゲームをしていた仲間だったのに。  オレだって、たまに綺麗すぎるあいつにドキドキしてしまったりはしてたけど、のんびりしたアイツとばかな話をするのが好きだった。  なのに、今はケツにいれて、腰を振っている。  もう、戻れないのだ。  オレは大事な親友を失ったのだ。    だけど、親友の中は何度か抱いたことのある女のそこより気持ち良く、オレを絞りたてていく。  「たまらんわ・・・クソっなんでこんなにええねん」  オレは呻いた。  先輩、先輩  愛してるとか好きとか言うのを禁じられた後輩は、ただそれだけをキスしながら熱っぽく囁く。  気持ちええ  ホンマええ  もっとしてぇ  そう泣くアイツの腰が動くのがたまらなかった。  麻薬の入った飴でも舐めてるみたいに、乳首を仲間がしゃぶりつくす。  息が出来ない。  何もかもが沈んでいる。  深い深い水底で水圧につぶされそうだ。  でも、ここから抜け出せない。  親友の身体は悲しい位甘かった。  そんなオレ達を、あのガキはじっと見ていた。  自分の手で自分の性器を扱きながら。  とんだ変態だ。  オレ達の誰よりも。  そう思った。      

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