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第3話 どれからします?
貴臣の部屋に入ると、ベッドの上にうつ伏せになるように言われた。
「マッサージしますね」
今日はハーフパンツを履いているので、裾を捲りあげる手間もなくすぐにマッサージを開始された。
滑りを良くするためにホホバオイルを少量垂らされ、足首から脹脛にかけて揉まれていく。
貴臣はスポーツトレーナーになるという夢を持っている。中1の頃に事故で足を骨折し、入院した時にトレーナーに良くしてもらったことが嬉しくて忘れられないのだと。
サッカーの練習で疲れた足を癒してくれる瞬間は、速攻で眠りに落ちそうになるくらいに気持ちが良い。
「ところで兄さん、さっき言っていたことはもう忘れたんですか」
「ん? さっきって?」
「だから、これですよ」
壁を見ると、貴臣が書いた先輩の性癖リストの紙が貼られていたので吹き出した。
「なんでこれを壁に貼ってんだよっ」
「目標を明確に達成しやすくする為です」
難関大学合格!とかじゃないんだからさ。
親に見られたらどうすんだよ。完全に18禁の言葉だらけだけど。
「忘れるはずないだろ。俺だって色々と考えてたんだよ」
「あぁ、それは良かったです。さっさと自室に引っ込んでいったので、口だけだったのかと思っていました」
「え、まさか、早速今日からするつもりなの?」
「当たり前ですよ。ウカウカしているうちに先輩を誰かに取られてしまうかもしれないですし。早ければ早いほど良いです」
「えぇ、待ってよ、いきなりそんな……」
マッサージをされながら、貴臣の書いた文字を順に辿って顔を赤らめる。
今更だけど、本当に大丈夫なんだろうか。貴臣の前であられもないことをするなんて……
「何からしましょうか。この中で一番抵抗なく出来そうなことってどれですか」
「そんなのないよっ! 正直、全部抵抗あるし」
「あれ、ならもう答えは出ていますね。先輩とのお付き合いは無理ということで」
「……」
また、卑猥な言葉の羅列を読み返す。
貴臣が協力してくれると言ったんだ。最初から諦めずに頑張ってみようか。
「じゃあ……ノーマルなオナニーを……披露ってやつ……」
口に出して言うと恥ずかしさ倍増だ。
ノーマル、というのにはワケがある。ある特殊なやり方のオナニー披露というのもあるのだ。
顔から耳にかけて熱くなっているのを感じる。
背後にいる貴臣はどんな顔をしているのか分からないが、ふっと優しく笑った気配がした。
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