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第18話 先輩はインドア派

   そんな恥ずかしいお漏らし披露をした、次の日。  学食へ移動している最中、大好きな先輩を見かけたので駆け寄った。 「あの、この前はありがとうございました」  廊下の隅で、俺はぺこりと頭を下げる。  この前といっても、つい3日前のことだ。  濃厚で濃密すぎる2日間を過ごしたため、もう何年も前のことのように感じる。 「いや。こっちこそいきなりあんなこと言っちまって悪かったな。で、やっぱ俺とは無理だって言いに来たんだな?」 「いえ、俺、先輩の性癖になんとか応えられそうなんです」 「はい?!」    まだ2つしかクリアできていないにも関わらず、口火を切った。  もう逃げ道を作らないためだ。怖気付かないように宣言してしまえばいい。  先輩は大袈裟に目を丸くした。 「なっ、中田。俺の性癖リストにちゃんと目を通したか?」 「はい。いま先輩が持っている全ての性癖を理解したり、いきなりやってみろって言われても難しいのもあるんですが、いつかきちんと応えたいと思っています。なので先輩、どうかそれまで待っていてほしいんです」  先輩がごくり、と唾を飲み込む。 「マジで? 俺のあんな沢山の性癖を受け入れようとしてくれてるのか?」 「はい。先輩が好きですから」 「……中田〜!」  先輩は涙目になって、俺の手を上下にブンブンと振る。 「そんな風に俺のために頑張ろうとしてくれる奴に会ったの、人生で初めてだよ〜! 分かった! 俺、いつまででも待つよ!」 「えっ、本当ですかっ」 「もちろん。嘘じゃねぇよ。中田が俺の性癖を全て理解できる日が来たら、それは俺たちの交際記念日ってことだ!」 「せんぱい〜」  ホッとした。  貴臣には一刻も早くしないと離れてしまいますよと脅されていたのだが、そんな心配無用だった。 「もし付き合ったら、ちゃんとデートもしような! エロいことするだけが目的じゃないんだからさ」 「デートですか! いいですね、なんだかワクワクします」  手をつないで散歩して、映画を見てから食事、ウィンドウショッピング、その後雰囲気によってはラブホテルなんか行っちゃったり?  あぁ、そんな夢にまで見た光景を早く先輩と叶えられるように、貴臣とレッスンを頑張らなくちゃ。  つい顔をほころばせていると、先輩もつられたようにますます笑顔になった。 「家でのんびり過ごすのが好きなんだよね。膝枕で耳掃除とか、マッサージもされたいなぁ。一緒に昼寝して、起きたら本読んだり映画観てダラダラして、その後ゲームで対戦して、負けた方がコンビニでデザート買ってくんの……あ、悪いな、勝手に妄想した」  へへ、と悪戯っぽく笑う先輩に、キュンとしてしまった。  デートといったら俺はアウトドア派だが、先輩はインドア派らしい。  確かにそんなデートもしてみたい。というか先輩とだったらきっとなんでも嬉しい。  頭の中に先輩の言葉をメモをして、礼を言って別れた。  部活を終えて家に帰ると、昨日のデジャブかのように貴臣がやってきて「今日はどうしましょうか」と尋ねてきた。 「いや、それなんだけど、ちょっと話したいことがあるんだ」 「えぇ、いいですよ」 「じゃあ俺の部屋に来て」

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