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第60話 ③*
「え……っと……」
貴臣の目は見えないのに、まるで透視しているみたいにこっちに顔を向けてじっとしている。
何かを試されているように思えた。
俺の出す答えによって、貴臣の意見も変わってくるような。
言って、いいの? 実はお前が好きなこと。
……いや、ふつーに駄目だろ。こいつには今、好きな人がいるんだ。
危うく流されてしまうところだった。
「ん、まぁ、俺はきっと元からエロいんだろうな。お前とするプレイが全部初体験だし刺激が強いから、いつも興奮しちゃうのかも」
貴臣だからではなく、プレイによって興奮しているのだと告げる。
貴臣は少し間を置いて口の端を上げた。
「続き、してもらえますか」
「……ん」
俺の答えは、不正解じゃなかったと思う。
だけど100点満点の正解でもないなぁと胸を少しチクッと痛めながら、もう一度愛しいものに口づけをした。
しばらく放置されていたそれは少し萎んでいたけど、口の中いっぱいに含んでやると、また元気を取り戻した。
さっきは苦しくてしょうがなかったけど、コツを掴んだような気がする。
手を上下してやりながら口の中も窄めてみると、貴臣の漏らす吐息の回数が上がってきた。
「歯が当たらないように、注意して……」
「ん、んー……」
「そう……そんな感じ……上手ですよ……」
それを聞いて、ますますやる気が出てきた。
上下している首も痛いし、口もだるくなってきたけど、貴臣の為だったらなんでもしてあげたい。
卑猥な音が二人を包む。
俺も興奮が収まらない。見られていないことをいいことに、左手でさっきからビリビリしている自分のものも擦っていた。
あー俺、超変態。好きな人のペニス咥えながら興奮してオナってる。
「兄さん……」
呼ばれて、咥えたまま目線を上げると優しく笑んだ貴臣と目が合った。
……ん、おかしい。アイマスクがあるはずなのに、どうして目が合うんだ?
アイマスクは、俺たちの横で役目を終えたように寝転がっていた。
状況を理解した俺は上体を起こそうとするも、貴臣に頭を押さえられて身動きが取れなくなった。
「んっ……⁈」
「イきたい……すみません、出させてください……っ、兄さんも、またイっていいですから」
「──……!」
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