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第77話 悲しみのエロレッスン①*
「……ッ、はぁ……、んっ……」
「ほら、また声が出てる。もしこれが外だったらすぐに通報されてますよ。ちゃんとしてくださいよ」
そんなことを言われても、鼻にかかった甘ったるい声を抑えることができない。
だって貴臣の指が、俺の後孔を犯している。
さっき爪の先だけをゆっくり入れられて、今は細くて長い指が2本、一定のリズムで抽送を繰り返している。
「ちょっときついな……下腹部にそんなに力を入れないで。まだ第二関節の手前までしか入ってないですよ」
「だって、やだ……っ」
初めて指を入れられて。
でもその声は冷淡で。
心は北風が吹いて寒くて寂しいのに、体の方は真夏みたいにどんどん熱くなっていく。
心と体がバラバラすぎて涙が滲む。
こんな風にされたくないのに。
いつもみたいに、俺がうまく出来なくても笑って「大丈夫ですよ」と言って、何でも受け止めてくれる貴臣になってほしいのに。
今は──
「まだ狭い。ちゃんと練習はしておいたんですか? これだといつまでたっても入りませんよ」
なかなか力を抜けないことに苛ついたのか、貴臣はさらにオイルを追加した後、ずず、と指を押し進めてきた。
「あっ! や……、やだっ……! おく……っ!」
「あぁ、意外と入りました。嫌じゃないでしょう、そんなに指をきゅうきゅう締め付けて。ここも、自分で見てみて下さいよ。カウパーまみれで、こんなにしちゃって」
つんつんと、指先でペニスを突かれた。
反り上がった先端が俺の腹にペチンとくっつく。
先走りの蜜が竿を伝って滴り落ち、シーツに新たなシミを作った。
枕は俺の涙と唾液でぐちゃぐちゃになっている。
拭いたくても、手が使えない。腰も高くあげられてガッチリと支えられているせいで、まったく身動きが取れなかった。
さっきはきつかった後孔も、貴臣がいやらしく抜き差しをしていくと、どんどん柔らかくなっていった。
「はぁ……っ……や……だぁ……」
ぐちゅっ…と水っぽい音がする。
今は3本飲み込んでいるらしい。
速すぎず、ゆっくりすぎないペースで、じゅ、じゅ、と抜き差しされ、蕩けた最奥まで指が届くと、俺の下半身にビリビリがどんどん広がっていく。
「念の為、もう1度訊きますよ。秋臣とは何を話していたんですか?」
手の動きを少し緩められたのも束の間、同じことを問われて黙り込む。
言えない。だって、言ったところで何になる。
「……ふ、……っ……ぁ」
「あぁ、そうですか。やっぱり言いませんか」
すると突然、入り口付近まで引き抜かれていた指を勢いよく奥まで入れられた。
ぐじゅっと卑猥な音が鳴った後すぐに、俺の嬌声も部屋に響いた。
「っやぁ……!」
「だから、嫌じゃないでしょう? 手を縛られて、腰だけ掲げてうしろをかき混ぜられて、本当は興奮してるんでしょう。兄さんは淫乱ですからね」
唇の端だけで、ふふっと笑われたけど。
なんかすっごく、馬鹿にされたような気がする。
そんな風に冷たく言われて、ちっとも嬉しくない。
こんなレッスン、マジでいやだ。
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